株式併合の際の株式買取請求における価格の決定方法とは?不服がある場合の対処法も解説
株式併合の際の株式買取請求における価格の決定方法とは?不服がある場合の対処法も解説
株式併合
既に発行されている株式数を減らすために、いくつかの株式を1つの株式に統合することを「株式併合」といいます。
この株式併合は、株主の持分比率を変動することにより株主としての地位に重大な影響を及ぼすおそれがあるため、反対株主は、一定の場合に株式買取請求を行使し、投下資本を回収することが認められています。
このコラムでは、株式併合における株式買取請求における価格の決定方法について、わかりやすく解説していきます。
株式買取請求権の原則
株式併合で「1株未満の端数が生じる場合」には、反対株主に株式買取請求権が与えられています。
反対株主は、株式併合の効力発生日の20日前の日から、効力発生日の前日までの間に限り、株式を「公正な価格」で買い取ることを、会社に対して請求することができます(会社法182条の4第1項および第2項)。
「公正な価格」については、上場会社であれば市場価格を基準に、お互いの協議にて決めることになります。
株式併合の効力発生日から30日以内に買取価格の協議が調った場合には、当該会社は、株式併合の効力発生日から60日以内に、その買取価格を株主に対して支払う必要があります(会社法182条の5第1項)。
価格決定の協議が調わない場合
株式併合の効力発生日から30日以内に買取価格の協議が調わない場合には、株主または会社は、効力発生日から30日間が経過した後、効力発生日から60日以内までの間に、裁判所に対し価格決定の申立てをすることができます(会社法182条の5第2項)。
価格決定の申立てがなされた場合には、裁判所により価格決定がなされることになりますが、この場合、効力発生日から60日経過後から、支払済みまでの年6%の割合による利息も、買取価格と併せて支払う必要があります(会社法182条の5第4項)。
ただし、会社が独自に判断した「公正な価格」を、あらかじめ反対株主に支払っていた場合(会社法182条の5第5項)には、当該支払額に対する利息は発生しないことになります。
価格に不服がある場合の対処法
買取価格に不服がある場合には、株主総会決議取消の訴え(会社法831条1項)、もしくは株式併合の差止請求(会社法182条の3)などを検討してください。
ただし、株式併合の結果、1株未満の端数の処理として株主に交付される対価が不当であることは、株式併合の要件である「法令または定款に違反」しているとはいえない可能性があります。
手続きのご依頼・ご相談
株式併合の際の株式買取請求は会社法上認められている権利であり、価格決定の申立て期間等について、しっかり頭に入れておく必要があるでしょう。
株式併合などに関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。