合併登記の無効は合併無効事由にあたる?合併無効事由について詳しく解説
合併登記の無効は合併無効事由にあたる?合併無効事由について詳しく解説
合併登記が無効になる場合とは
会社が合併した場合には、その登記をしなければいけません(会社法921条、922条)。
もし、合併登記が要件に沿わず無効となった場合には、合併そのものにも影響を及ぼすのでしょうか。
このコラムでは、合併登記が無効になる場合や、無効になった場合に合併そのものに対する影響などについて、わかりやすく解説していきます。
合併無効の訴えとは?
合併無効の訴えとは、合併について定められた必要な手続きに瑕疵がある場合に、その合併が無効であることを訴える制度のことです(会社法828条)。
合併無効の訴えは、出訴期間に制限あること、判決の訴求効を制限していることなどから、無効の訴えにおける一般原則には従っていません。
合併無効事由
合併無効事由は、会社法上はとくに明記されていませんが、一般的に合併手続上、重大な違反がある場合にのみ、無効の訴えを提起できると解されています。
合併無効事由にあたる事由は次の通りです。
合併する会社、存続会社、新設会社のいずれかが法定適格性を欠く場合
合併契約に意思の欠缺など瑕疵がある場合
合併契約上の必要決定事項を欠いている場合
合併の承認決議を欠いている場合もしくはその決議が取り消しもしくは無効となった場合
取締役会承認決議を欠く場合、もしくはその決議の瑕疵がある場合
合併契約書の本店への設置を怠った場合
債権者保護手続に瑕疵がある場合
合併差止の仮処分がされているにもかかわらずそれに反して合併がなされた場合
合併比率に著しく不均衡がある場合
合併登記が無効な場合
独占禁止法に規定されている手続に違反した場合
合併後の企業担保権の順位に関する取り決めを欠く場合
合併に関する認可を欠く場合
なお、会社の合併は、利害関係人が多数存在することから法的安定性を重視すべきであり、軽微な違法については、合併の無効事由にはあたらないと解されます。
合併登記が無効になると合併には影響が出る?
合併の登記は会社法上の義務であり(会社法921条、922条)、とくに新設合併の場合であれば、合併登記が会社の効力発生要件であることを考えると、合併登記が無効な場合には、合併そのものの無効事由に当たると解されます。
ただし、吸収合併については、合併登記が効力発生要件とはなっていないので、仮に合併登記が無効になったとしても、合併そのものの効力には影響がないと解されます。改めて有効な登記を申請することになるでしょう。
手続きのご依頼・ご相談
合併無効事由については、会社法では特に規定されていないため、あくまでも解釈に委ねられるところがあります。
合併に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。