登記申請基本

不動産登記手続きにおける一括申請(一の申請情報による申請)について基本解説



不動産登記手続きにおける一括申請(一の申請情報による申請)について基本解説


一括申請(一の申請情報による申請)

申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、1の不動産事に作成して提供しなければならないと定められている(不動産登記法令4条)。
この規定によれば、一個の不動産に関してそれぞれ個別に申請しなければならないので、多数の不動産を有する所有者が死亡し、相続する場合は多数の申請情報によって、それぞれ相続登記しなければならないことになる。
又、それが同一不動産であったとしても、買主・売主など申請人、登記の目的、登記原因、売買などの登記原因の日付に同一性がなければ、それぞれの申請情報に応じて申請しなければならない。
しかし、たくさんの申請をするとなると、実務的に多くの手間を要することとなる。そこで、4条にはただし書が定められており、同一の登記所の管轄区域内にある2以上の不動産について申請する場合は、申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときはこの限りでないとしている。
いわゆる、管轄が同じであれば、不動産が2以上であっても、①登記の目的が同一、②登記原因が同一(申請人が同一であることも含む)③登記原因の日付が同一であることを要件として、申請情報を一枚の紙にまとめて一括申請することができるとされているのである。

例:50筆の土地の所有権移転

 例えば、50筆の土地の所有権を移転するとする。この場合、全て乙の所有する土地で同一の管轄にあり、5月1日付の売買契約によって甲へと所有権を移転するという申請情報であるならば、登記の目的、登記原因、登記原因の日付が同一であるので、50筆の土地であっても、申請情報を一枚にまとめて申請することができる。登録免許税は、全ての土地の課税評価額を足して計算される。課税評価額が金1000円に満たない場合は、登録免許税は1000円となるが、田舎にある土地など50筆を足しても金1000円に満たない場合がある。このような場合、50筆の土地をそれぞれ申請すると登録免許税は金5万円となるが、一括申請であれば金1000円で済むことになり、支払う金額の負担に大きな差異が生じてくる。

 また、不動産登記法令4条ただし書の後段には、「その他法務省令で定める時はこの限りではない」と定めている。その他法務省令で定める時とは、不動産登記規則35条である。ここには、同一人の氏名(名称)・住所の変更・更生の登記であれば、複数の不動産であってもまとめていい一括申請できることが定められている。例えば、50棟のビルを所有する丙が、結婚によって氏名が変わり、更に、引越しによって住所が変更となったとする。この場合、50棟のビルが同じ管轄区域内にあった場合であれば、住所変更と氏名変更の登記を全てまとめて一括申請することができる。この場合の登録免許税は、不動産1個につき金1000円となる。

不動産登記法令第4条
申請情報は、登記の目的及び登記原因に応じ、一の不動産ごとに作成して提供しなければならない。ただし、同一の登記所の管轄区域内にある二以上の不動産について申請する登記の目的並びに登記原因及びその日付が同一であるときその他法務省令で定めるときは、この限りでない。


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本日は不動産登記鉄続きにおける一括申請の基本について解説しました。
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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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