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事業譲渡の要件、判例から見る事業譲渡の意義

判例から見る事業譲渡の意義


事業譲渡

株式会社は、株主総会の決議による承認を受け、事業の全部の譲渡又は事業の重要な一部の譲渡することができる(会社法467条1項1号)。
事業譲渡は、事業譲渡契約で定められた日に効力を生ずる。したがって、事業に属する個々の資産については、不動産登記の対抗要件具備など、個別に移行手続きを要する。ゆえに、譲渡された事業は事業譲渡会社から切り離され、事業譲受会社がその全てを所有し運営することとなる。また、会社法では譲渡会社の競業は禁止されており、譲渡会社がその事業から収益を上げることを譲渡会社が妨げるべきではないことから、譲渡会社に対し競業避止義務を負わせている(21条)。これにより、事業譲渡の実効性と譲渡会社の事業の自由との調整を図らなければならず、譲渡会社の事業を制限するには、事業譲渡の意義が重要となる。

事業譲渡の意義

 このような事業譲渡であるが、会社法上・商法上では事業譲渡の意義に関する規定がなく、その意義は解釈に委ねられてきた。しかし、最大判昭和40年9月22日民集第19巻6号1600頁では、事業譲渡の意義について争われ、その意義について明確に判示している。ここでは、商法第245条第1項第1号にいう「営業ノ全部又ハ重要ナル一部ノ譲渡」とは、①一定の営業の目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要なる一部を譲渡であること、②これによって譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせること、③譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に競業避止業務を負う結果を伴うものであることの3点を要件としている。
「①一定の営業の目的のため組織化され、有機的一体として機能する財産の全部または重要なる一部を譲渡であること」という要件から、単なる事業用財産の譲渡は、それが譲渡会社にとって重要なものであっても事業譲渡に当たらないとされる。
また、「②これによって譲渡会社がその財産によって営んでいた営業的活動の全部または重要な一部を譲受人に受け継がせること」の要件にいう「重要な一部」とは、簡易事業譲渡に関する事業か否かという側面と、譲渡会社の収益や事業活動に与える影響の重大性といった質的側面に分けて考慮されるべきだと考えられている。そして、「③譲渡会社がその譲渡の限度に応じ法律上当然に競業避止業務を負う結果を伴うものであること」の要件に関し、学説は対立しており③の要件は不要であるとする学説が有力となっている。

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本日は事業譲渡について解説しました。
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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

債務整理・商業登記全般・組織再編・ファンド組成などの業務等を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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