仮想通貨を現物出資して会社を設立する際の注意点!仮想通貨が高騰したとき、下落したときはどうなるのか
仮想通貨を現物出資して会社を設立するには
現物出資とは
株式会社を設立するにあたり、定款で定めた資本金額の払い込みが必要です。
資本金額は登記が必要で、登記申請にあたっては払い込み証明書の添付が求められます。
資本金の出資は原則として金銭によりますが、金銭以外の財産、たとえば、不動産や有価証券などの現物を出資することも可能です。
現物出資とは、金銭以外の財産的な価値があるものを出資する方法ですが、金銭と異なり、価値の評価が不明確です。
過大評価されれば、資本金額と見合わなくなるリスクもあるため、厳格なルールが定められており、要件を満たしたうえで、裁判所が選任した検査役の調査を受けなくてはなりません。ただし、現物出資の対象となる財産の価額が500万円以下である場合や定款記載価額が相当であることについて、弁護士や税理士などの証明を受けた場合には調査を省略することができます。
仮想通貨を現物出資して会社が設立できるのか
仮想通貨は金銭と思われそうですが、国が発行した通貨ではないため、有価証券などと同様の扱いになります。
仮想通貨を利用して現物出資をするには、500万円以下として検査を省略するか、500万円を超える場合には弁護士や税理士などに評価証明をしてもらうのがスムーズです。
評価証明では、財産が実在することと財産の正確な価値を評価しなくてはなりません。
これを仮想通貨に当てはめると、特定のウォレットに特定量の仮想通貨が存在しており、特定の日時における特定の仮想通貨取引所における日本円建ての時価を明確にする必要があるでしょう。
仮想通貨が高騰した場合
仮想通貨は変動が大きいため、わずか1日でも、評価額よりも大幅に価格が変動するおそれもあります。
では、出資した後、仮想通貨の価格が高騰したらどうすべきでしょうか。
すでに出資が確定していますから、仮想通貨の評価額が変化しても、当事者に割り当てられた株式数は変わりません。
ただし、変動が大きな仮想通貨で現物出資をするにあたり、事前に議決権比率は当事者の出資額に応じて決定する旨を株主間で契約しておけば、後日、出資額の増加と議決権の増加を主張することは可能です。
とはいえ、逆に下落することもあるため、なかなか合意が得にくいかもしれませんし、合意が得られても、主張しにくいおそれはあります。
仮想通貨が下落した場合
株式会社での資本金は債権者にとっては債務の引き当てとなり、株主にとっては株主有限責任のもと、株主の公平を図るうえで重要な要素です。
そのため、出資財産の価額が不足した場合、法律上、発起人および設立時取締役が連帯して不足額を会社に支払わなければならないと定められています。
仮想通貨の価値が大幅に下落した場合、その都度、定款変更をして資本金額の変更が求められる恐れもあります。
また、評価証明を行う弁護士や税理士なども、評価証明を注意を怠らずに行ったことを立証できない限り、発起人と連帯して、不足額を支払う義務を負うので、注意が必要です。
まとめ
本日は仮想通貨の現物出資についてご説明いたしました。
法人設立に関するお問い合わせは永田町司法書士事務所までお問い合わせください。