子供のいない夫婦の相続関係(家族信託活用事例④)
家族信託の活用方法(子供のいない夫婦の相続関係)
子供のいない夫婦の相続関係
夫婦であるAとBには子供がいない。
AとBは長年、夫婦でお店を経営してきた。
個人経営ながら、事業は上手くいき、ある程度の資産を作ることにも成功した。
ただ、夫婦には子供がいないため、相続が発生した場合、資産の行方がどのようになるかに不安がある。
夫婦AとBには子供がいないものの、甥Cと姪Dがいる。
甥Cは、夫Aの兄弟の子供である。
姪Dは、妻Bの兄弟の子供である。
もし夫Aが先に亡くなると、相続財産は、配偶者である妻Bと夫の兄弟とその子供Cに相続される。
もし妻Bが先に亡くなると、相続財産は、配偶者である夫Aと妻の兄弟の子供Dに相続される。
どちらが先に亡くなるかで、夫婦の財産が夫側の財産に帰属するのか、妻側の財産に帰属するのかが決まってしまう。
夫婦での事業経営は、それぞれの親族にもたくさん助けられた面があるため、できれば平等にどちらの親族にも財産を承継してほしいと思っている。
ゆくゆくは甥Cと姪Dに平等に財産が承継できればと思っている。
何かうまい方法はないかと考えていた時、家族信託(個人信託)のことを知り、それを利用してみることにした。
家族信託(個人信託)を活用してみる
まず、AとBそれぞれ遺言信託を設定する。
Aは、もしこの先、自分が妻Bより先に亡くなった場合、全財産を信託財産として設定し、妻側の兄弟の姪Dに信託財産を託す。
このとき、受益者を妻Bとする。
こうすることで、妻Bは、Dから生活の必要に応じ、毎月一定額の現金給付を受けとることができる。
Dは、信託財産の管理全般を担う。
また、Dが適正に管理しているかを監督するため、第三者である専門家の司法書士を信託監督人に設定しておくことで、Dが勝手に財産を使い込んでしまうということも防ぐことができる。
そして、妻Dが亡くなった場合、信託は終了することとし、残余財産の帰属先を夫A側の親族である甥Cに設定する。
これにより、夫側の親族にもきちんと財産が相続される形をとることができる。
甥Cと姪D双方に財産を承継したいという形を実現することができるのだ。
また、夫だけでなく、妻も逆の立場として遺言信託を設定する。
この場合は、甥Cに信託財産を託す形にし、受益者を夫Aとする。
また夫A亡き後は、信託を終了させ、残余財産の帰属先を姪Dに設定する。
こうすることで、それぞれ夫、妻どちらが先に亡くなっても、どちらの親族にも平等に遺産を承継することが可能となる。
夫婦の甥Cと姪Dに平等に財産を相続してほしいという思いも、家族信託を利用することで実現することができるのだ。
さいごに
民事信託(家族信託)のご相談は永田町司法書士事務所までお問い合わせください。