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法人の事業年度は3月がいいの?事業年度の決め方

法人の事業年度は3月がいいの?事業年度の決め方

「株式会社の決算は3月末がいいのではないか」と思い込んでいる方が、非常に多いのですが、この3月末決算にはあまり意味がありません。
本日は、3月末決算が多い理由と3月末決算とするメリット・デメリット、そして事業年度の決め方をご紹介いたします。

3月決算とする企業が多い理由

日本の法人は3月末決算とするところが多いのですが、その理由は、「慣習」が大きく影響しています。特に意味はないのです。
みんなが3月末決算だから…というところでしょうか。

ではなぜ3月末決算が定着したのでしょうか。

公共機関の会計年度にあわせた

国や地方自治体の会計年度は、毎年4月1日~翌年3月31日に統一されています。
明治時代から続くルールであるといわれています。また、税制改正のタイミングや教育制度(日本の多くの学校は4月入学、3月卒業としてる)なども関係があるといわれています。
そのため企業もこれにあわせて会計年度は、3月末に設定する企業が多くなったと言われています。

上場会社の場合は総会屋対策

昔は「総会屋」と呼ばれる者がいました。
総会屋とは、株式会社の株を保有し権利行使を乱用することにより会社から不当に金員を収受又は要求する者をさします。

この総会屋対策として、上場会社は3月末決算、5月~6月の決まった週に足並みをそろえて定時株主総会を開催していました。
総会屋は上場会社の株を少しずつ持つため、一斉に株主総会が開催されれば、渡り歩くことが出来ませんので、一定の効果があったといえます。

当然現在では総会屋問題はほぼ皆無といっても良いですし、上場会社ならではのものでしたので、非上場会社があえて3月末決算にする必要性ってないんですよね。
つまり「みんながそうだから…」という理由でみなさん3月末になっているのでしょう。

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決算期の決め方と3月末決算のデメリット

3月末決算はデメリットが多し

上述したとおり、なんとなく3月末決算としている法人が多いため、多くの税理士事務所は4~5月末に繁忙期を迎えます。事業や会計に関する相談をしたい場合でも、この時期の相談や依頼は他の月と比較して料金は割高になります。

また、皆様忙しいので、丁寧な回答等は期待できません。
3月末にしなければならない絶対的な理由がない限りはむしろこの時期を避けるべきであるともいえます。

決算期の決め方

基本的には、設立タイミングから1番遠い事業年度に決定し以後そのまま事業年度を設定している会社が多いです。

8月10日設立→はじめの事業年度は翌年7月31日…など
設立時点から1番遠い事業年度に設定しておけばまず問題ありません。ただ、会社を複数社もっている…などの事情があれば事業年度はなるべくそろえた方が分かりやすいし、税理士も助かると思いますので、複数社もっている場合は、他の会社にあわせましょう。

大企業は12月決算へ移行

3月決算であった上場会社(花王など)が、国際会計基準との関係で12月決算に移行しています。国際会計基準(IFRS)を中心とした企業のグローバル化が理由であると考えられます。欧米企業は12月決算が多く、また中国では、日本のように自由に決算日を決めることは出来ず、決算日は12月31日と法律上決まっています。

会計の世界でも「グローバル化」が存在し、企業は更なるグローバル化によって、12月決算の企業がもっともっとこれから増えると考えられます。

決算期はいつでも変更可能

決算期は、株主総会で定款変更を行うことにより変更可能です。
決算期は登記事項ではございませんので、登記申請手続は不要ですが、税務署への届出は必要となります。

さいごに

いかがでしたでしょうか
今回は、事業年度についてお話させていただきました。3月末決算にすることによるメリットはあまりないように感じます。それどころか3月末決算にすると税理士さんの負担を増やすだけとなり、お互いにとってよくありません。

事業年度の決定は、設立日より一番遠いところで設定するか、12月決算をえらぶところが多いようです。以上を踏まえて、ご検討いただければと思います。
会社設立に関するご相談等は、会社法人手続専門の永田町司法書士事務所までお気軽にお問い合わせください。

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