代表取締役が清算人となる場合、住所変更登記は省略できるか。
会社の解散事由
会社は次の自由により、解散します(会社法471条)。
(ⅰ)定款で定めた存続期間の満了
(ⅱ)定款で定めた解散の事由の発生
(ⅲ)株主総会の特別決議(会社法309条2項11号)
(ⅳ)合併(消滅会社側)
(ⅴ)破産手続開始の決定
(ⅵ)裁判所の解散命令又は解散判決
(ⅶ)休眠会社につき法務大臣の官報公告がされた後2カ月の期間満了
(ⅷ)一定の営業に係る免許等の取消し
(ⅰ)~(ⅲ)までについては、会社(代表清算人)は解散の登記申請をしなければなりません。
ここでは、解散事由として最も多い「株主総会の特別決議において解散」した場合について解説します。会社が解散した場合、原則として株式会社は清算人によって清算をします(会社法475条1号)。
最初の清算人となる者
最初の清算人には、次に掲げる者がなります(会社法478条)。
①定款で定める者
②清算開始時の取締役(法定清算人)
③株主総会普通決議によって選任された者
④裁判所が選任した者
ちなみに、清算人に任期上限はありません。
なお、清算人の欠格事由は取締役と同様です(会社法478条8項)。
代表者住所変更登記は必要か
本日は、代表取締役は登記簿上に住所が表記されているわけですが、解散して当該代表取締役が清算人となる時点で、登記されている住所から住所移転している場合、前提として、代表者住所変更登記が必要かという論点です。
結論としては、清算開始時の取締役を清算人(法定清算人)とする登記を申請した場合は、代表者住所変更登記が必要となる可能性がございます。
これは、清算開始時の取締役を清算人(法定清算人)とする場合は「スライドしている」ため同一人格と認められるからと考えられます。他の先生の話では、スライドしても住所変更を求められなかったと言っていた方もいたため要管轄法務局に照会です。
そして、これには回避方法があり、清算人を株主総会で選任すれば、前提としての住所変更登記は不要となります。スライドしていないため別人格と考えられるためでしょうか…
しかし、似たような論点では、代表者重任登記時に登記されている住所から変更が生じていても、前提としての住所変更登記をせずに、新住所で重任登記をすることが出来ます。これはどうみても同一人格なので上記の考え方では矛盾が生じてしまいそうではありますが、実務の運用は、いまのところこのようになっています。
さいごに
いかがでしたでしょうか。様々なパターンがございますが、油断は禁物です。
しっかりと管轄法務局へ確認の上、申請いたしましょう。会社の解散・清算・役員変更・代表者の住所変更手続など、永田町司法書士事務所へお問い合わせください。