種類株式発行会社で、種類株主総会に拒否権を付けたい
事例内容
中小企業A社では、旧オーナーが会社経営に一定の関与を続けるため、拒否権付株式を発行することにしました。
さらに、後継者が取締役に必ず選任されるよう、役員選解任権付種類株式も導入する計画でした。
オーナー側からは「後継者の選任議案についても自分の拒否権を働かせたい」との要望があり、定款に「B種類株主が選任する取締役の選任議案に対して、A種類株式に拒否権を付ける」との規定を盛り込む案が検討されました。
課題
①種類株主総会の決議に拒否権を付けられるかどうか不明
②登記上は受理される可能性があるが、実際の効力は疑問
判断とアドバイス
学説・実務では「種類株主総会の決議に拒否権は付与できない」とされています。
相互に拒否権を付け合う事態を避ける趣旨から、拒否権付株式の効力は普通株主総会決議に限定されるのが通説的理解です。
最終的にA社では、種類株主総会への拒否権付与は断念し、拒否権付株式のみを発行する形に落ち着きました。