代理人が占有している動産も動産譲渡登記の対象となりますか
【相談事例】代理人が占有している動産も動産譲渡登記の対象となりますか
貸し倉庫内に譲渡対象の動産があります。この場合、倉庫業者が代理人として動産を占有している状態になりますが、代理人占有の動産も動産譲渡登記の対象となりますか
代理人が占有する法人所有の動産
代理人が占有する法人所有の動産についても、動産譲渡登記の対象とすることは可能です。なぜなら、実際企業は動産を貸し倉庫などに預けている場合が多く、代理人が占有する動産についても動産譲渡登記を認めなければ動産を活用した資金調達の円滑化という制度の趣旨を達成することは出来ないため認められます。
代理人が占有する法人所有動産が譲渡された場合は、指示による占有移転により対抗要件を備えることになります。
代理人に対する動産引渡請求
代理人が占有する法人所有の動産が譲渡された場合において、譲受人が動産を占有する代理人に対して当該動産の引渡し請求をしたときは、代理人は本人(譲渡人)に対して、この請求に異議がある場合相当期間内にこれを述べるべき旨を遅滞なく催告することになります。
この場合、本人が代理人から催告を受けて異議を述べた場合は、代理人は本人の異議に応じて引渡請求を拒むことが可能で、その後は本人である譲受人譲渡人の話し合い又は訴訟に委ねられることになります。
本人が引渡しに異議を述べなかったとき
上述のとおり、譲受人から引渡し請求を受けて、代理人が本人(譲渡人)に対して、この請求に異議がある場合相当期間内にこれを述べるべき旨を遅滞なく催告すした場合に、本人がなんら異議を述べず相当期間が経過した場合、代理人は動産譲渡登記上の譲受人に当該動産を引渡してもその責任を負うことはありません(特例法3条2項)。
ただしこの規定は任意規定となるため本人(譲渡人)と代理人との間で別段の定めがされている場合はその定めに従うこととなります。