株主総会で取締役を追加したが、代表者が交代しない場合の添付書類は?
■ 登場人物
・株式会社X(東京都、非取締役会設置会社)
・代表取締役:山田(創業者・代表権あり)
・新任取締役候補:鈴木(営業責任者)
■ 相談内容
「取締役会は置いていない株式会社で、これまで代表取締役の山田1名体制でしたが、会社の成長に伴い、新たに鈴木を取締役として迎えることになりました。代表は引き続き山田が務め、変更はありません。
司法書士の先生に議事録の押印や就任承諾書の印鑑証明について確認したところ、『代表の変更がないなら議事録に会社実印は不要、就任承諾書に鈴木さんの印鑑証明が必要』と言われましたが、本当にそれで大丈夫でしょうか?」
■ 判断とアドバイス
今回のケースは、「取締役の追加のみ」であり、代表取締役の変更登記が発生しないため、商業登記規則61条6項は適用されません。よって株主総会議事録に代表印(会社実印)を押す法的義務はなく、仮に押印がなかったとしても登記上の問題はありません。
一方で、非取締役会設置会社の平取締役の就任承諾書には、印鑑証明書付きの実印押印が必要です(同規則61条4項による)。代表者の就任ではなくとも、この要件は変わりません。
したがって、司法書士の説明通りであり、正しい処理です。