遺言・相続・遺産承継

遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった場合の実務対応と遺産発見条項の活用と注意点

遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった場合

相続手続きでは、相続人全員で遺産分割協議を行い、遺産分割協議書を作成して各種手続き(相続登記・預貯金の解約等)を進めます。
しかし実務では、遺産分割協議が終わった後に新たな財産が見つかるケースは決して珍しくありません。
数年後に預貯金が判明したり、固定資産税が課税されない土地が見つかったりすることもあります。

本記事では、遺産分割協議後に新たな遺産が発見された場合の対応方法と、実務上よく用いられる「遺産発見条項」について整理します。


遺産分割協議後に新たな遺産が見つかるケース

遺産分割協議は本来、遺産全体を対象に行うものです。
もっとも、実際の相続では、協議当時に把握できなかった財産が後日判明することがあります。
典型的な例として、次のような財産が挙げられます。

漏れやすい財産 主な理由
非課税の土地(私道持分・山林など) 固定資産税の課税対象でないため通知書に載らない
貴金属・現金 自宅保管で記録が残らない
他人への貸付金 契約書が見つからない場合がある
美術品などの動産 建物整理などで後日発見される
証券・金融資産 口座の存在を家族が把握していない

特に非課税不動産は、固定資産税納税通知書や名寄帳に記載されないことがあるため、後日発見されることがあります。

新たな遺産が見つかった場合の基本的な対応

遺産分割協議書に記載されていない財産が見つかった場合、その財産については 改めて遺産分割協議を行うのが原則です。

たとえば次のような対応になります。
・新たな財産について相続人全員で協議
・新たな遺産分割協議書を作成
・不動産の場合は相続登記を申請

ただし、相続人の人数が多い場合や、協議後に相続人が死亡している場合などは、改めて協議を行うこと自体が困難になることもあります。
そのため、実務では事前の対策として遺産発見条項を設けることがあります。

遺産発見条項とは

遺産発見条項とは、遺産分割協議後に新たな遺産が発見された場合の取扱いを、あらかじめ遺産分割協議書に定めておく条項です。
主なパターンは次の3つです。

条項の類型 内容 特徴
別途協議条項 新たな遺産が見つかった場合は改めて協議する 原則的だが手続きが増える
法定相続分条項 発見された遺産は法定相続分で取得する 金銭など分割可能財産に適する
指定取得条項 特定の相続人が取得する 再協議不要で実務上使われることが多い

例えば次のような条項です。
「本協議書に記載のない遺産及び後日判明した遺産については、相続人○○がこれを取得する。」

このような条項があれば、改めて遺産分割協議を行わなくても相続登記などの手続きが可能となる場合があります。

先行する遺産分割協議の内容は考慮されるのか

新たな遺産について再度遺産分割を行う場合、
「最初の遺産分割で不公平だったので、その点を考慮してほしい」
という主張が問題になることがあります。

しかし裁判例では、先行する遺産分割協議の内容を考慮せず、法定相続分に基づいて分割するのが相当と判断された例があります。
つまり、新たな遺産については、原則としてその財産のみを対象として分割を判断するという考え方です。

遺産分割協議が無効となる可能性

もっとも、次のような事情がある場合には注意が必要です。
例えば、
・相続人が財産の存在を知りながら隠していた
・その財産を知っていれば協議は成立しなかった
といった場合には、遺産分割協議そのものの無効が問題となる可能性があります。
この場合は、遺産分割協議無効確認訴訟などの問題に発展することもあります。

相続財産調査の重要性

このようなトラブルを防ぐためには、遺産分割協議を行う前の財産調査が極めて重要です。
主な調査方法は次のとおりです。

調査対象 調査方法
不動産 名寄帳、固定資産評価証明書の取得
預貯金 通帳・金融機関への照会
証券 証券保管振替機構を通じた口座照会
その他財産 契約書・保管書類の確認

もっとも、すべての財産を完全に把握することは難しいため、遺産発見条項を設けておくことが実務上の安全策となります。

本コラムのまとめ

遺産分割協議後に新たな財産が見つかるケースは珍しくありません。

その場合のポイントは次のとおりです。
・協議書に記載のない財産は原則として再度遺産分割が必要
・事前に「遺産発見条項」を設けておくと手続きが簡素化される
・先行する遺産分割の内容は原則考慮されない
・財産を意図的に隠していた場合は協議無効の問題となる可能性がある
・相続開始後は早期に財産調査を行うことが重要

相続実務では、財産調査・遺産分割協議書の作成・相続登記が密接に関係します。
後日のトラブルを防ぐためにも、慎重な対応が求められます。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、遺産分割協議後に新たな遺産が見つかった場合の実務対応と遺産発見条項の活用と注意点について解説しました。
相続登記(不動産登記)、会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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