外国会社の商号に「株式会社」を付けているケース、外国会社の営業所設置登記における商号記載の実務整理
外国会社の営業所設置
外国会社が日本に営業所を設置する場合、商業登記における商号の記載方法は、日本の株式会社とは異なる取扱いがなされます。
例えば、韓国法人で、原文はハングル+(英文表記で、ABC, inc)」
この英文表記を翻訳すると「株式会社エービーシー」となる場合、登記商号も「株式会社エービーシー」でよいのか?という疑問が生じます。
結論から申し上げますと、翻訳上「株式会社」とされていても、そのまま登記することは適切ではありません。

外国会社の商号の原則的な記載方法
(平成5年11月5日民四6928号通知)
原則、外国会社の商号は、以下のとおり整理されます。
| 本国での表記 | 登記方法 |
|---|---|
| 漢字表記あり | 漢字で登記可能 |
| 漢字表記なし | 発音どおりの片仮名表記 または ローマ字表記 |
| 組合せ | 片仮名+ローマ字も可 |
つまり、本国で漢字商号を使用していない限り、日本法上の会社形態を示す「株式会社」という語を登記することは適切ではありません。
外国会社の商号に「株式会社」はなぜ適切ではないのか
平成5年11月5日民四6928号通知によれば、外国会社の商号は、本国における表記に基づき、発音どおり片仮名又はローマ字で登記するとされています。
したがって「株式会社エービーシー」という翻訳はあくまで便宜的な日本語訳であり、本国商号そのものではないと考えられます。
日本法上の「株式会社」という法人形態表示を外国法人に付加することは、制度上予定されていないのです。
昭和54年通達との混同
昭和54年11月13日民四5758号民事局長通達では、商号中に業種表示がある場合、申請により日本語の業種表示を括弧書きで付加できるとされています。
しかしこれは「業種表示」に関する特則であり、「株式会社」のような法人形態そのものを付加することを認めたものではありません。
具体的に、実際の存在する外国会社の商号において、「ユービーエス・エイ・ジー(銀行)」とか「ナットウエスト・マーケッツ・セキュリティーズ・ジャパン・リミテッド(証券)」などがあります。
本通達は、このカッコ書きを意味しています。ここを混同すると誤ります。
本件の正しい登記例
本件のように、原文が韓国語で和訳はエービーシー、英文としてABC, inc(和訳:株式会社エービーシー(ABC, inc))と登記されている外国会社の登記簿をもとに、日本で営業所設置をする場合、
登記商号は、
・エービーシー
・ABC, inc
・エービーシー(ABC, inc)
といった形式が適切であり、「株式会社エービーシー」は登記に適しないと考えられます。
実務上の注意点
外国会社登記では、以下を確認する必要があります。
| 確認事項 | 実務上のポイント |
|---|---|
| 本国商号の原文 | 漢字使用の有無を確認 |
| 発音 | 片仮名転記の妥当性 |
| ローマ字表記 | 原文どおりか |
| 和訳文 | 登記に適する表記か精査 |
翻訳証明書に「株式会社」と記載されていても、そのまま登記することが適切とは限りません。
本コラムのまとめ
外国会社の商号登記は、「翻訳どおりでよい」と考えると危険です。
商業登記は本国商号をそのまま転写する制度であり、日本法上の会社形態を付加する制度ではありません。
本国で漢字商号が用いられているわけでもない外国会社にもかかわらず「株式会社」とついている法人をときどきみかけますが、
これは、申請時に問題とされなかったケースであり、実際は適切ではありません。
通知を踏まえた慎重な判断が必要です。
外国会社の営業所設置登記は、日本法人登記とは全く別のロジックで動いていますので、この視点を忘れないことが、実務家としての基本姿勢だといえるでしょう。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、外国会社の商号に「株式会社」を付けているケース、外国会社の営業所設置登記における商号記載の実務整理について解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。




