中国法人に関する宣誓供述書作成の実務
外国会社の商業登記手続
外国会社に関する商業登記手続において、代表者の資格や会社の実在性等を証明するために「宣誓供述書(Affidavit)」の提出が求められる場面があります。
しかし、中国法人が関与する案件で、「日本の中国大使館で宣誓供述書を作成・認証してもらえない」という問題に直面することがあります。
本稿では、その理由と実務上の正しい対応方法を整理します。

中国はハーグ条約に加入していない
まず前提として、中国本土はハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)に加入していません。
そのため、
・アポスティーユ認証は利用不可
・簡易的な国際認証ルートが存在しない
という制約があります。
日本法人案件でよく利用される「公証+アポスティーユ」という流れは、中国法人には適用できません。
なぜ中国大使館では対応できないのか
中国大使館・総領事館の業務は、主として以下に限られます。
・領事認証
・公文書の確認
・中国国内文書の認証補完
一方、今回問題となる宣誓供述書は、
「日本の法務局提出用の私署証書」
に該当します。これは領事認証の対象ではなく、大使館において新たに作成・認証する業務範囲に含まれないため、実務上、取り扱っていないという回答になります。
制度上の問題であり、書式の問題ではありません。
日本の公証役場ではなぜ足りないのか
日本の公証役場で認証を受けた文書は、日本の公文書となります。
しかし、外国会社などの対象となる会社が中国法人である場合、日本側で求められるのは中国の文書です。
法務局実務においても、日本公証役場の認証書は中国法人の資格証明として使用不可とされるケースが一般的です。
したがって、日本国内で完結させる方法は採れません。
実務上の正解ルート
中国法人に関する宣誓供述書が必要な場合は、中国現地の公証処(Notary Office)において公証書を作成する方法が基本となります。
その際は、「日本の法務局へ提出する公証書を作成したい」旨を伝え、日本提出用であることを明確にする必要があります。
中国案件では、事実上この方法によるほかありません。
(公証書以外のものを提出されている事例をみたことがありません。)
本コラムのまとめ
中国法人が関与する登記案件においては、
・アポスティーユ不可
・大使館での宣誓供述書作成不可
・日本公証役場の書類は使用不可
という三重の誤解ポイントが存在します。
重要なのは、「どこで公証するか」ではなく、「どの国の公文書が求められているか」という視点です。
中国法人については、中国公証処による公証書を取得するのが原則ルートとなります。
国際登記実務では、条約加入状況が手続ルートを決定づけるため、事前確認が不可欠です。
手続きのご依頼・ご相談
本日は、中国法人に関する宣誓供述書作成の実務について解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。




