組織変更

組織変更と登記事項の整理、同時に変更できる事項と別登記となる事項

組織変更と同時にできる変更登記

組織変更は、会社の法的形態そのものを変更する手続です。
株式会社と持分会社(合名会社・合資会社・合同会社)との間で組織変更を行う場合、
単なる変更登記とは異なり、設立と解散を同時に行う特殊な登記構造を取ります。
この構造ゆえに、
「組織変更と同時に、どこまで登記事項を変更できるのか」
という点は、実務上あらかじめ整理しておく必要があります。

組織変更登記の基本構造

持分会社から株式会社へ組織変更する場合、登記は次の2本立てで行われます。
・組織変更後の株式会社の設立登記
・組織変更前の持分会社の解散登記
この2つを同時に申請することで、組織変更が登記上完成します。
この「設立+解散」という構造が、他の登記事項との関係を考える際の出発点になります。

「設立登記に吸収できる変更」とは何か

組織変更後に成立する株式会社については、
最初からその内容で設立された会社として登記されます。
したがって、「設立時の会社の姿」として説明できる事項については、組織変更と同時に反映させることが可能です。
この発想が、同時変更可否を判断する際の基本軸になります。

組織変更と同時に変更できる主な登記事項

(1)商号

組織変更後の商号は、従前の商号を引き継ぐ必要はありません。
「合同会社ABC」→「株式会社ABC」
に限らず、全く別の名称を商号として設立登記することも可能です。
商号は、設立する株式会社の基本事項として整理できるため、組織変更と同時に変更できます。

(2)目的

組織変更後の株式会社の目的は、組織変更前の会社の目的に拘束されません。
・従前の事業内容を踏まえた目的
・組織変更を機に拡張・変更した目的
いずれも、設立する株式会社の目的として定めることができます。

(3)役員構成

持分会社から株式会社へ組織変更する場合、役員構成が大きく変わることは珍しくありません。
・社員1名体制 → 取締役複数名
・代表社員 → 代表取締役
といった変更も、設立時の役員構成として整理すれば、組織変更登記の中で完結させることができます。
この点は、登録免許税の観点からも実務上のメリットがあります。

組織変更と「同一申請書ではできない」登記事項

一方で、組織変更と同時期に行えても、同じ申請書では処理できない登記事項があります。
重要なのは、「同時にできない」のではなく、「同一の申請書にまとめられない」という点です。

(1)本店移転

組織変更と同時に本店を移転すること自体は可能です。
しかし、
・組織変更の設立・解散登記
・本店移転の登記
は、別の申請として行います。
特に管轄外移転の場合は、旧管轄・新管轄それぞれへの申請が必要となり、結果として複数件の連件申請になります。

(2)資本金の額の変更

組織変更により設立される株式会社の資本金は、原則として組織変更計画で定めた額になります。
これとは別に、
・増資
・減資
を行う場合は、組織変更登記とは別の登記として申請します。
順序としては、
・組織変更前に資本金を調整する
・組織変更後に資本金を変更する
いずれも可能ですが、同一申請で処理することはできません。

実務的な判断基準のまとめ

組織変更と同時に変更できるかどうかは、次の基準で整理すると分かりやすくなります。

設立時の会社の姿として説明できるか
 → 同時に反映できる

設立後に別途変更したと評価されるか
 → 別登記が必要

この線引きを意識しておくと、スケジュール設計や費用見積もりがブレにくくなります。

本コラムのまとめ

組織変更は、「すべてを一気に整理できる手続」のように見えますが、実務上は、
・設立登記に吸収できる事項
・別途変更登記として切り出すべき事項
を冷静に切り分ける必要があります。

組織変更の設計段階で、どこまでを設立時の内容として処理するかを整理しておくことが、後工程をスムーズに進める最大のポイントです。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、組織変更と登記事項の整理、同時に変更できる事項と別登記となる事項について解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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