渉外業務

営業所を設置していない外国会社の「日本における代表者変更登記」管轄が分かれる場合の考え方と注意点

日本における代表者の変更登記

外国会社の登記実務の中でも、「日本に営業所を設置していないケース」における代表者変更登記は、情報が断片的で判断に迷いやすい分野です。
とくに、新旧代表者の住所地管轄が異なる場合は、申請方法を誤ると却下リスクを伴います。
本稿では、営業所非設置の外国会社を前提に、日本における代表者変更登記の実務上の整理ポイントを解説します。

営業所を設置している外国会社との違い

まず前提として、外国会社が日本に営業所を設置している場合には、
日本における代表者の変更(退任・就任)は、営業所所在地を管轄する法務局に対して行います。

この点は比較的明確で、国内会社の支店登記に近い感覚で処理できます。

一方で、本稿のテーマである営業所を設置していない外国会社の場合、
「日本における代表者の住所地」が管轄判断の基準となるため、実務が一段階複雑になります。

営業所を設置していない外国会社の場合の基本整理

(1)新旧代表者が同一管轄内にある場合

退任する代表者と、新たに就任する代表者の住所地が同一の法務局管轄内である場合は、
実務上の取扱いは比較的シンプルです。

日本における代表者の「退任」と「就任」を現在の管轄法務局に対して、1件の変更登記として申請するという処理になります。
このケースでは、国内会社の役員変更登記と近い感覚で対応できます。

(2)新旧代表者の住所地管轄が異なる場合

問題となりやすいのが、次のようなケースです。
・退任する日本における代表者:東京都在住
・新たに就任する日本における代表者:千葉県在住

このように、管轄法務局が異なる場合、申請方法について実務上の整理が必要になります。

管轄が異なる場合の申請方式の考え方

(1)実務で採られている基本的な考え方
実務上は、「日本における代表者の住所移転登記に準じた取扱い」として処理する方法が採られることがあります。
具体的には、
・旧代表者の住所地を管轄する法務局を経由して
・新代表者の住所地管轄へ登記を移す
いわゆる「経由申請」と同様の構造として取り扱う方法です。
実際の運用については、管轄法務局により見解が異なる可能性があるため、個別案件ごとに事前照会を行うことが強く推奨されます。

(2)安易な二段階申請がリスクとなる理由
一見すると、まず旧管轄で代表者変更登記を行いその登記事項証明書を添付して、新管轄に再度申請するという二段階処理も考えられます。
しかし、この方法は、管轄に関する規定との関係で却下リスクが生じる可能性があり、必ずしも安全な方法とはいえません。
とくに、住所移転と同視される場面では、「経由申請を前提とした処理」が求められると解される余地があるため、実務上は慎重な判断が必要です。

登記記録の表示に関する実務上の注意点

代表者変更登記が完了すると、旧代表者住所地管轄の登記記録には、
・就任年月日
・登記年月日
・閉鎖年月日
といった項目が記載されます。
これらの記載方法については、近年の登記記録例の整理に基づいて運用されているため、
過去の登記事項証明書と比較すると、表記に違いが見られることがあります。
過去の記録との不一致があっても、直ちに誤りとは限らない点は、実務上押さえておきたいポイントです。

実務上のまとめ

営業所を設置していない外国会社の日本における代表者変更登記では、
・代表者の住所地が管轄判断の基準となること
・新旧代表者の管轄が異なる場合は、申請方式に注意が必要なこと
・法務局ごとの運用差が現実に存在すること
を前提に、事前確認を含めた慎重な手続設計が不可欠です。

外国会社登記は件数が少ない分、「前例があるだろう」という思い込みが最もリスクになります。
実務では、必ず最新の運用を確認したうえで進めることが重要といえるでしょう。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、営業所を設置していない外国会社の「日本における代表者変更登記」管轄が分かれる場合の考え方と注意点について解説しました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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