渉外業務

外国会社の日本支店・営業所を閉鎖する場合の実務整理

外国会社の営業所閉鎖

外国会社が日本に設置した支店・営業所は、
本国での事業再編や日本事業の縮小・撤退に伴い、閉鎖されることがあります。

この場合、日本法人の解散とは異なり、
「日本における代表者の退任」と「日本支店の閉鎖」を軸に、登記実務が求められます。

本稿では、外国会社の日本支店・営業所を閉鎖する際に必要となる手続の全体像を、
実務上の考え方に重点を置いて整理します。

日本支店の閉鎖と「日本における代表者」の関係

外国会社の日本支店は、
日本における代表者の存在を前提に存続しています。

このため、登記実務では次の点が重要になります。

・日本における代表者が一人でも残っている限り
 → 日本支店は存続していると扱われる

・日本における代表者が全員退任した場合
 → 日本支店は事実上、営業を継続できない状態になる

したがって、日本支店を閉鎖するためには、日本における代表者を全員退任させる必要があるという整理になります。

本国での意思決定が出発点になる

日本支店の閉鎖は、日本側だけで完結する手続ではありません。
実務上は、まず、

本国において
・日本支店を閉鎖すること
・日本における代表者を退任させること
についての意思決定が行われます。

この本国での決定内容を、日本の登記手続に反映させていくのが基本的な流れです。

債権者保護手続が必要になる理由

日本における代表者が全員退任する場合、
日本支店は営業を行えなくなるため、
債権者保護の観点から公告・催告の手続が求められます。

具体的には、
・官報公告による退任の公告
・知れている債権者への個別催告

を行い、公告掲載の翌日から1か月間、異議申立ての機会を与えます。
これは、日本支店の閉鎖が、日本国内の取引関係に影響を与える可能性があるためです。

宣誓供述書の位置づけと注意点

外国会社の日本支店閉鎖手続では、宣誓供述書(Affidavit)が重要な書類になります。
宣誓供述書には、
・本国での決定内容
・日本における代表者が全員退任すること
・日本支店を閉鎖すること
といった事項を記載します。

この宣誓供述書は、
・本国の公証人
・又は在日大使館・領事館
で認証を受ける必要があり、
日本の公証役場で認証することはできません。
実務上、ここで時間を要するケースが多いため、早めの準備が重要です。

異議申立てへの対応と上申書

公告期間中に、
・債権者から異議が出た場合
 → 弁済その他の対応を行う
・異議が出なかった場合
 → その旨を記載した上申書を作成

します。
この段階を経て、初めて日本支店閉鎖の登記申請が可能になります。

日本支店閉鎖の登記申請

必要な手続をすべて終えた後、外国会社の日本支店閉鎖登記を申請します。
この登記により、日本における営業所は閉鎖された扱いとなり登記簿上も、その履歴が反映されます。
登記完了後は、閉鎖履歴事項証明書を取得し、金融機関や関係先への説明資料として使用することになります。

手続期間の目安

日本支店閉鎖手続では、
・債権者異議申立期間として1か月
・宣誓供述書の作成・認証
・登記申請準備
が必要になるため、全体としては6週間から2か月程度を見込むのが一般的です。

本コラムのまとめ

外国会社の日本支店・営業所の閉鎖は、
・日本における代表者の全員退任
・債権者保護手続
・本国文書の整備と認証
といった、日本法人の解散とは異なる要素が組み合わさった手続です。

特に、
・宣誓供述書の準備
・本国側との調整
は、スケジュール全体に影響を与えやすいため、
早期に全体像を整理したうえで進めることが重要です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、外国会社の日本支店・営業所を閉鎖する場合の実務整理をおこないました。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。

本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

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