株主リストに記載する株主の住所と番地省略の取扱い、株主名簿記載事項との整合と補正対応
株主リスト
株主総会関連の登記申請では、株主リストの添付が必須です。
その記載内容は株主名簿に基づく必要がありますが、株主住所に番地の記載がないケースが実務上少なくありません。
従来はそのまま受理されることもありましたが、場合によっては補正を求められることがあります。
実際に生じた事例
ある会社の株主名簿では、株主住所が「東京都千代田区永田町一丁目」で止まっており、「11番28号」といった番地以降の記載がありませんでした。
これまでの申請では補正を指摘されることはなかったため、登記も問題なく完了していました。
しかし、株主全員の同意が必要なケースで全株主をリストに記載したところ、初めて補正を受けました。
法務局の指摘内容
・住所に番地の記載がないと、
・本当に株主名簿に記載がないのか
・それとも単なる記載漏れなのかが分からない。
・会社が地番まで把握していない場合は仕方ないが、その場合には理由を注記する必要がある。
指摘の根拠
法務省の「株主リストに関するQ&A」A13(公式サイト)に次のように明記されています。
株主の住所は株主名簿の記載事項とされているため、原則として地番まで記載する必要があります。
会社が地番まで把握していない場合は、把握している限度で記載すれば足りますが、その場合には「株主名簿にも最小行政区画までしか記載されていない」旨を注記してください。
実務上の整理
原則→株主の住所は番地まで記載する。
例外→株主名簿自体に番地がなく、会社も把握していない場合
・株主リストにも同じ範囲で記載し、
・「株主名簿に最小行政区画までしか記載されていない」旨を注記する。
これまで受理されていたケースは、法務局側で見逃されていただけに過ぎず、本来は補正対象ということになるようです。
本コラムのまとめ
株主リストに記載する株主住所は、株主名簿に準拠して番地まで記載するのが原則です。
ただし、名簿上番地が欠けている場合は、注記で理由を明示すれば登記は可能です。
株主リストは一見簡単な書類ですが、住所表記ひとつで補正リスクがある落とし穴の多い書類といえます。
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本日は、株主リストに記載する株主の住所と番地省略の取扱い、株主名簿記載事項との整合と補正対応について解説いたしました。
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