新設型組織再編における「資本金の額の計上に関する証明書」の作成者
新設型再編における
新設型組織再編、特に株式移転においては、設立する完全親会社の資本金をいかに登記簿に反映するかが重要です。
その際に提出が必要となるのが「資本金の額の計上に関する証明書」です。
ところが、この証明書を誰が作成するのか(親会社か子会社か)という点で、誤解が生じやすく、補正に至る事例もあります。
補正事例から見えた問題
実際に株式移転を申請したところ、法務局から「資本金の額の計上に関する証明書は、株式移転完全子会社が作成すべき」との補正指摘を受けました。
一見すると、法務省HPの記載例にもそのように読める表現があります。
しかし、これまでの実務では、新設される完全親会社が作成しており、過去に補正となった事例もありませんでした。
根拠法令・書籍の整理
会社計算規則52条2項
株式移転設立完全親会社の資本金額は、株式移転完全子会社が株式移転計画に従って定めることを規定。
→ 一見すると子会社が証明者のように読める。
ハンドブック(商業登記関係)
添付書面として「株式移転完全親会社側の書類」に資本金計上証明書が明記。
「通達準拠 会社法と商業登記」(キンザイ)
先例に基づき、完全親会社側の書類として位置付け。
実務上の正しい取扱い
結論として、資本金の額の計上に関する証明書は「新設される完全親会社」が作成するのが正しい運用です。
理由は以下のとおりです。
・新設会社の登記に添付する書面であるため、作成者も新設会社となるのが自然。
・先例・実務書も一貫して完全親会社側の書類として扱っている。
・法務省HPの記載例は誤解を招きやすいが、最終的には先例・ハンドブックを優先すべき。
実務上の注意点
・誤解に基づく補正指摘を受けた場合でも、安易に従わず、根拠法令や先例を確認し、必要に応じて法務局と調整することが重要。
・特に株式移転は登記が効力発生要件であり、補正で申請が遅れると重大な影響が出る可能性があるため、準備段階で確認を徹底する必要があります。
・法務省HPの記載例はあくまで参考であり、最終的な判断は先例と登記実務書に基づくべきです。
本コラムのまとめ
新設型組織再編における資本金計上証明は、新設される完全親会社が作成するのが正解です。
ホームページの記載例だけを頼りにすると誤解を招き、不要な補正につながる可能性があります。
実務家としては、必ずハンドブックや先例書籍を確認し、法務局とやり取りする中でも自信をもって対応できる体制を整えておくことが求められます。
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新設型組織再編における「資本金の額の計上に関する証明書」の作成者について解説いたしました。
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