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書面決議の同意書は提案者も必要?実務で誤解しやすいポイント

取締役会書面決議

取締役会の「書面決議(決議の省略)」は、実務で広く利用されています。
特に外資系企業や多忙な取締役が多い会社では、「会議を開かずに同意書を集める」形でスピーディに意思決定を行うことが一般的です。
しかし、その際に誤解されやすいのが「提案者である代表取締役自身の同意書が必要か」という点です。

提案者の同意書は不要ではない

一見すると「自分で提案した事項に自分が同意するのは当然だから不要」と考えがちです。
しかし会社法上は「取締役全員の同意」が必要とされており、提案者が除外される規定は存在しません。
したがって、提案者も含めた同意書が求められます。

なぜ提案者の同意も必要なのか

・提案は必ずしも書面化されていない可能性がある
提案書は書面や電磁的記録で残すことが多いですが、理論上は口頭で提案する場合も想定されます。
・同意書は意思表示の証拠となる
書面決議においては、議事録を作成して出席者が署名押印する代わりに、同意書が「賛成の意思表示の証拠」となります。そのため、提案者であっても同意書を提出することに意味があるのです。

他の例と比較

同じように「意味がないのでは?」と思われがちな例は、就任承諾書や辞任届です。
「自分が自分に宛てて書くのは不自然」と感じても、手続上は必要とされています。
また、親子会社間の組織再編における株式買取請求の通知も、形式上は親会社に通知が必要です。
実質的に不要と思えても、省略が認められていない以上、原則どおり手続きを行う必要があります。

実務上のまとめ

提案者を含む全員分の同意書を用意するのが安全
・提案書に署名押印しているからといって、同意書を省略するのは避けるべき
・将来、登記や内部統制の観点で疑義を招かないためにも、形式を整えることが重要

本コラムのまとめ

・書面決議には「取締役全員の同意書」が必要。提案者も例外ではない。
・提案書が必ずしも書面で残るとは限らないため、同意書で意思表示を証明する意味がある。
・実務上は「提案者=同意不要」と誤解されやすいので注意。
・他の書面(就任承諾書・辞任届・株式買取請求通知など)と同様、形式的でも提出が求められる。

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本日は、書面決議の同意書は提案者も必要?実務で誤解しやすいポイントを解説いたしました。
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本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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