知れたる債権者とは?小額債権者への催告をどう扱うか
知れたる債権者
資本減少や組織再編の際に必要となる債権者保護手続では、「知れたる債権者」に対して個別催告を行う必要があります。
もっとも、実務上判断に迷う場面のひとつが小額債権の扱いです。
小額債権者を催告から外す理由
法律上は、金額の多少を問わず債権を有する者は債権者に当たります。
しかし実務上は、小額債権者に対して催告をしない運用がなされています。
その理由は、仮に小額債権者が異議を申し出ても、即時に弁済してしまえば債権者でなくなるため、異議申立ての実効性がなくなるからです。
実務での判断基準
・小額債権は形式的に●円と定めること
・その金額の範囲で全員に弁済できるかどうかを考えること
これらを基準に、小額債権の範囲を設定するのが一般的です。
もっとも、たとえ1件ごとに小額であっても、合計額が大きくなる場合は注意が必要です。
グループ会社等からの借入の場合
親会社やグループ会社に対する借入金も「債権」に含まれます。
「異議は出ないはず」として催告を省略したいと相談されることもありますが、債権額が高額になることが多いため、形式的にでも催告を行うのが無難とされています。
実務と理論のギャップ
法務局に照会すれば「すべての債権者に催告が必要」と回答されるケースもあります。
実務で小額債権者を省略するのは、事務負担を軽減するための慣行にすぎないため、あまり過度に省略的な運用は避けるべきです。
本コラムのまとめ
・小額債権者は、理論的には催告対象だが、実務では金額基準を設けて省略する運用がある。
・金額基準を設定するときは、合計額の影響も考慮する必要がある。
・親会社やグループ会社の債権は形式的にでも催告を行うのが安全。
・あくまで実務慣行であり、「全債権者が対象」という法的建前は忘れてはならない。
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本日は、知れたる債権者とは?小額債権者への催告をどう扱うかについて解説いたしました。
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