抵当権設定登記の費用・内訳・手続きの流れを徹底解説
結論(本コラムの要点サマリ)
・登録免許税(必須)→原則は債権額(根抵当なら極度額)の0.4%。
ただし住宅取得資金の抵当権は0.1%へ軽減(適用期限:令和9年3月31日)。収入印紙で納付します。
・証明書の手数料→登記事項証明書は窓口600円/通、オンライン郵送520円、オンライン窓口490円(2025年4月以降)。
印鑑証明は概ね200〜300円/通です。
・事業資金(根抵当権)での例外→日本政策金融公庫(JFC)が(根)抵当権者のとき、要件充足で登録免許税が非課税。
根拠は登録免許税法4条・別表第三。
費用の内訳(目安表)
費目 | 内容 | 目安・税率 |
---|---|---|
登録免許税(設定) | 抵当権設定登記の基本コスト | 0.4%(住宅ローンは**0.1%**に軽減、〜令和9/3/31)(国税庁) |
登記事項証明書 | 事前確認・完了確認(各1通想定) | 窓口600円/オンライン郵送520円/オンライン窓口490円(/通)(法務省) |
印鑑証明・住民票 等 | 当事者側で取得 | 200〜300円/通(自治体相場) |
物件調査(任意) | 権利関係・担保価値の確認 | 事案により数万円〜 |
司法書士報酬 | 書類整備・申請一式 | 事案・物件数で変動(事前見積り) |
例)3,000万円の住宅ローン:登録免許税は本則12万円 → 軽減3万円。証明書や印紙を加えても数万円台で収まるのが一般的です。
費用を抑える方法(現実的に効くものだけ)
1.住宅ローンの軽減税率(0.1%)を必ず適用
適用期限は令和9年3月31日。申請書の課税根拠の書き分け・必要添付の失念があると本則0.4%で計算されます。実行前に金融機関・司法書士と適用可否を確認してください。
2.日本政策金融公庫(JFC)を利用する事業融資
JFCが(根)抵当権者の設定は非課税(登録免許税法4条・別表第三)。個人または資本金5億円未満の普通法人等が対象で、非課税証明に足る添付書類(住民票や登記事項証明書など)を求められます。
3.オンラインで証明書請求
登記事項証明書はオンライン窓口交付490円が最安です(郵送は520円、窓口請求600円)。
自力申請で司法書士報酬を節約する手もありますが、書類不備=登記遅延=融資実行や引渡しに支障というリスクが大きいため、金融機関が指定司法書士を求めるのが実務の多数派です。
手続方法と必要書類
全体の流れ
1.事前調査(登記事項証明で物件・所有者・表題を確認)
2.金融機関(抵当権者)からの書類を受領
3.申請書作成(目的・原因・債権額/極度額・順位 等)
4.登記申請(窓口/郵送/オンライン)
5.完了後に登記事項証明で記載確認
主な書類
1.抵当権設定契約書(原因証明)
2.抵当権者の資格証明情報・委任状
3.登記申請書(記載例は法務局の様式)
4.債務者の印鑑証明書、登記識別情報 等
(記載例・様式は法務局の最新資料をご参照ください。)
費用に関する注意点(落とし穴)
・軽減(0.1%)は「住宅取得資金の抵当権」に限定:事業資金やリフォーム資金では本則0.4%が原則です。
・日本政策金融公庫の非課税は“要件+書類”セット:非課税適用には条文上の要件と財務省令で定める添付が必要。案件ごとに司法書士で事前精査してください。
・証明書の手数料は改定に注意:2025年4月以降、オンラインの手数料が490円/520円に変更済み。古い単価での積算ミスに注意。
金融機関指定の運用:多くの案件で債権者指定の司法書士が登記実務を担当します。自力や他の司法書士を希望しても認められないことが一般的です(引渡し・融資実行の安全確保のため)。
かんたん試算(例)
・住宅ローン5,000万円の抵当権設定
→ 登録免許税:5,000万円×0.1%=5万円(軽減)
→ 証明書類や印紙等の実費:数千円〜(取得通数により変動)
・事業資金3,000万円・JFC根抵当権
→ 登録免許税:非課税(要件充足時)。通常は4/1000=12万円相当が0円に。
申請精度を上げるチェックリスト
□ 課税区分の確認(0.4%か0.1%か/JFC非課税の可否)
□ 原因・日付・債権額(極度額)・順位の整合
□ 資格証明情報・委任状の添付漏れ防止
□ 証明書の“有効期間”(登記で求められる発行日数の管理)
□ 完了後の登記事項証明書で記載確認(抹消や移転と同時進行の際は特に)
手続きのご依頼・ご相談
本日は、抵当権設定登記の費用・内訳・手続きの流れを徹底解説について解説いたしました。
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