特別代理人とは?その役割と必要な手続きについて
特別代理人とは
特別代理人とは、代理人による代理行為が不適切な状況、特に利益相反が生じる場合に、本人を代わりに代理するために家庭裁判所により選任される代理人です。
例えば、親権者が未成年の子と一緒に遺産分割協議を行う場合など、同じ相続人でありながら利益が相反する状況が生じることがあります。このような場合に、未成年者の権利を適切に守るため、特別代理人が必要となります。
特別代理人が必要となる主なケース
未成年者が相続人の場合
親と未成年の子が共同相続人となるケースでは、特別代理人を選任する必要があります。
例えば、遺産分割協議において、親が未成年者に不利な内容を提案してしまうリスクを防ぐためです。
また、未成年者のみが相続放棄を行う場合にも、特別代理人が必要です。
被後見人が相続人の場合
成年後見制度のもとで後見人がついている方(被後見人)が共同相続人となる場合、後見人と被後見人が利益相反の立場に立つことがあります。この場合も特別代理人を選任しなければなりません。
特別代理人を選任するための流れ
1.申立て
特別代理人を選任してもらうには、未成年者や被後見人の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てを行います。
2.必要書類の準備
・申立書
・戸籍謄本や住民票
・遺産分割協議書案(相続手続きの場合)
・特別代理人候補者の情報など
申立ての際には、未成年者や被後見人の利益を守る内容の書類を準備する必要があります。特に、遺産分割協議書案において未成年者が法定相続分以上の権利を確保できる内容でなければ、裁判所は承認しません。
3.家庭裁判所での審判
裁判所は提出された書類や状況を精査し、必要に応じて申立人や特別代理人候補者に照会を行います。その後、審判により特別代理人の選任が決定されます。
4.特別代理人の職務開始
選任された特別代理人は、家庭裁判所の審判で認められた範囲内で代理行為を行います。特別代理人の任務は、定められた職務が終了した時点で完了します。
5.特別代理人の選任資格
特別代理人に選任されるための特別な資格はありません。ただし、未成年者や被後見人と利益が相反しない人物であることが条件です。
実務では、親族(祖父母、叔父、叔母など)が候補者となることが一般的です。
特別代理人の役割を正しく理解する
特別代理人の職務は、家庭裁判所の審判で定められた範囲内に限られます。そのため、特別代理人として認められた内容以外の行為はできません。
例えば、未成年者の相続人の特別代理人が選任される場合、代理人は遺産分割協議に参加することが主な職務範囲となり、他の業務を勝手に行うことはできません。
手続きのご依頼・ご相談
本日は特別代理人とその役割について解説しました。
未成年者や被後見人が関与する相続手続きでは、特別代理人の選任がスムーズに進むよう、家庭裁判所への申立てや必要書類の準備を適切に行うことが重要です。
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