外国会社

外国会社の設立後・支店設置後に必要な手続き

外国会社登記後に行うべき主要な手続き

グローバル化によって、外国企業が日本市場へ進出するために日本で外国会社の登記をしたり、営業所を設置するケースが増えています。
しかし、設立や支店設置後も、多くの法的手続きや届出が必要であり、これらを怠るとペナルティが生じる可能性があります。
本記事では、外国会社登記後に行うべき主要な手続きを、解説します。さらに、手続きが必要な理由や、手続きをスムーズに進めるためのポイントについても触れています。

外国会社登記後・支店設置後の主な手続き一覧

外国会社が日本で子会社を設立したり、または外国会社の登記・支店を設置した場合、主に以下の手続きを行う必要があります。

・税務署への届出
・労働保険や社会保険の加入
・地方自治体への届出
・外国人従業員の雇用関連手続き
・必要に応じた追加手続き(ビザ取得など)

これらの手続きを期限内に完了することで、日本での事業活動を法的に進める基盤が整います。

1. 税務署への届出

子会社設立の場合:法人設立届出書
外国企業が日本に子会社を設立した場合、設立日から2カ月以内に、管轄の税務署に法人設立届出書を提出する必要があります。
また、青色申告承認申請書も併せて提出することが推奨されます。青色申告を選択することで、赤字の繰越控除や各種税制優遇を受けることが可能です。

支店設置の場合:外国普通法人の届出書
外国会社が日本国内に支店を設置した場合は、設置日から2カ月以内に、税務署に外国普通法人になったことの届出書を提出します。その際、外国法人の定款およびその翻訳文や事業の概要を説明する書類を提出します。これにより、外国法人が日本国内で納税義務を負うことになります。

2. 労働保険と社会保険への加入手続き

労働保険(労災保険・雇用保険)

日本で従業員を雇用する場合、労働保険への加入が必要です。労働保険は次の2つから構成されます。
・労災保険:従業員が業務中にケガや病気を負った場合に備える保険。
・雇用保険:従業員の失業時や倒産時に支援するための保険。

手続き内容
労災保険については、労働基準監督署に「労働保険関係成立届」および「労働保険概算保険料申告書」を提出。
雇用保険については、ハローワークに「雇用保険適用事業所設置届」および「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
これらの手続きは、雇用後10日以内に行う必要があります。

社会保険(健康保険・厚生年金保険)

法人を設立した場合、従業員の人数にかかわらず、社会保険への加入が必須です。代表者1名だけの会社であっても、加入手続きが必要です。

必要な手続き
健康保険・厚生年金保険新規適用届を管轄の年金事務所に提出。
従業員がいる場合は、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届も併せて提出。
また、従業員に扶養家族がいる場合には、追加で健康保険被扶養者異動届の提出が必要です。

3. 地方自治体への届出

法人を設立した場合、所在地を管轄する都税事務所や市区町村役場に対しても、法人設立届出書を提出する必要があります。この届出を怠ると、地方税(法人住民税や事業税)の課税対象から漏れることがあり、後にトラブルになる可能性があります。

4. 外国人従業員の雇用関連手続き

外国人雇用状況の届出
外国人従業員を雇用する場合、雇用状況を法務省(入国管理局)へ届け出る義務があります。この手続きを怠ると、雇用主として罰則を受ける可能性があるため注意が必要です。

5. 必要に応じた追加手続き

ビザ(在留資格)の取得
外国人が日本で働くためには、適切なビザ(在留資格)の取得が必要です。たとえば、以下のような在留資格が該当します。

・経営・管理(経営者や役員の場合)
・技術・人文知識・国際業務(専門職の場合)

在留資格の申請は、法務省入国管理局を通じて行います。

6. 手続き漏れが招くリスク

設立後の手続きに漏れがあると、以下のようなリスクが発生します。

税務処理の不備:法人設立届出書や青色申告の承認申請書を期限内に提出しない場合、ペナルティが科される可能性があります。
罰則の適用:社会保険や労働保険の加入義務を怠ると、罰金や追加費用が発生します。
信頼低下:取引先や従業員からの信頼を損ない、事業運営に支障をきたす可能性があります。

これらのリスクを回避するため、適切な手続きを確実に行いましょう。

7. スムーズに手続きを進めるためのポイント

1. 専門家のサポートを活用する
日本の法規制や手続きは複雑であり、特に外国企業にとってはわかりにくい部分も多いです。司法書士や税理士などの専門家を活用することで、スムーズな手続きが可能になります。

2. 期限を把握する
手続きの多くは2カ月以内や10日以内といった期限が設けられています。スケジュールを把握し、優先順位をつけて対応することが大切です。

手続きのご依頼・ご相談

本日は、外国会社の設立後・支店設置後に必要な手続きについて解説しました。
外国会社が日本での事業を開始する際には、設立後・支店設置後の手続きが非常に重要です。
税務署への届出や労働保険・社会保険への加入手続きなど、多岐にわたる要件を適切に満たすことで、トラブルを未然に防ぎ、事業運営を円滑に進めることができます。
手続きに不安がある場合は、ぜひ専門家に相談してください。
会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから