相続債権とは何か。可分債権と不可分債権-法務担当者向け基礎知識-
債権を相続することもできる?
債権を相続する
相続においては、債権を相続する場合があります。
つまり、債権も相続することができるということです。
では、そもそも債権とは何なのでしょうか。
例えば、AさんがBさんに100万円を貸していたとします。
この場合、お金を貸したAさんが債権者となり、お金を借りたBさんは債務者となります。
つまりAさんがBさんに対して債権を持っている(お金を貸したAさんが、Bさんに返して下さいと主張できる権利とイメージして下さい)ので、Aさんが死亡した場合、Aさんの財産を相続する相続人が、Bさんに対する100万円の債権を相続することとなります。
ですので、Aさんが亡くなったからBさんはお金を返さなくても良い、とはならず、Aさんの相続人がAさんに代わってBさんに債権(お金を返してもらう請求権)を主張することになります。
可分債権と不可分債権
債権には「可分債権」と「不可分債権」があります。
可分債権とは
可分債権とは、相続人同士でそれぞれその権利を分けることができる債権を意味します。
例えば、Aさんが生前Bさんに100万円を貸していて、Aさんには息子2人がいたとします。
Aさんが亡くなったことによって、この2人がそれぞれ50万円ずつの債権を相続することになります。
従って、金銭による債権に関しては、可分債権となるわけです。
不可分債権とは
一方、不可分債権とは、可分債権の反対で、分けることができない債権のことをいいます。
例としては、物の引き渡し債権などが上げられます。
例えば、Aさんが亡くなる前に車を購入していて、その車の引き渡しが完了していなかった場合、車は前方半分と後方半分のように分けることができませんから、不可分債権となります。
不可分債権の場合、車の引き渡しをしなければならない債務者は、債権者の相続人が複数いる場合、すべての債権者のために履行をする事ができます。
履行とは、上記の例でいうと、車の売買契約がなされているわけですから、債務者がAさんからお金を渡されたら、車を引き渡すことになりますが、この引き渡す行為が履行となります。
この場合、各債権者は、全ての債権者のために全部又は一部の履行を請求することができ、債務者は、全ての債権者のために各債権者に対して履行をすることができる、ということになります
まとめ
つまり、履行の請求については、代表者が履行の請求をすることによって、この不可分債権を相続した債権者である全員が履行の請求をしたのと同じ効力が発生することになり、履行については、債務者が、債権者のうちのひとりに履行すれば、債権者全員のために履行したことになります。
更に、可分債権についてですが、遺産分割をせずとも、相続の開始によって当然のように全ての共同相続人に対し、相続分に応じて引き継がれることになります。なお、被相続人の預貯金については可分債権にあたらず、遺産分割協議が必要となっています。
さいごに
いかがでしたでしょうか。本日は可分債権と不可分債権について解説しました。
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