司法書士と行政書士の大きな違いをわかりやすく解説!どっちがいい?稼げる?

司法書士と行政書士は、よく混同されてしまう職業ですが、仕事内容や年収に差があります。司法書士は、法律の知識を活かし相続や登記簡易裁判所の訴訟代理などを行いますが、行政書士は主に書類作成が中心の仕事です。

どちらも国家資格が必要な職業なので、目指す方も多く人気の職種。しかし司法書士や行政書士を目指そうと思っても、「どちらの仕事を選べばいいのか分からない」「司法書士と行政書士の違いが理解できていない」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

司法書士と行政書士は仕事内容はもちろん、貰える報酬額や進めるキャリアに違いがあるので、迷う方も多いです。本記事では、司法書士と行政書士の違いについて詳しく解説します。

年収や就職先、それぞれの資格に向いている人の特徴も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

目次

司法書士と行政書士の違いは?仕事内容や試験の難易度から違いを解説

司法書士と行政書士には、仕事内容など明確な違いがあります。資格を取るためにも、司法書士と行政書士の違いは理解しておかなければいけません。

仕事内容でも、それぞれ独占業務があり、できることに差があります。法律の専門家として、活躍したい方は試験の難易度など、違いを理解し自分が目指すキャリアを歩めるようにしましょう。

司法書士と行政書士は仕事内容が異なりそれぞれ独占業務がある

司法書士と行政書士の違いに、仕事内容があります。司法書士の業務は、主に以下の5つ

  • 相続、成年後見人
  • 不動産や商業登記
  • 供託業務
  • 企業法務
  • 簡易裁判所の訴訟代理

相続の業務では、遺言書の作成サポートから相続人への不動産移転登記などをします。手続きができないクライアントに代わって、書類作成や手続きの代理をします。

司法書士のメイン業務として登記があり、不動産や会社を設立する際の商業登記が当てはまります。現在は、依頼が減少している業務ですが、登記や供託業務は、司法書士の独占業務となるので、行政書士にはできない仕事。

また、企業に属することで、企業法務として活躍できるのも司法書士の魅力です。企業法務では、会社のルールや取引先との契約を、法律面からサポートします。

経営に深く関われることから、経営コンサルタントとしてキャリアを積む方もいます。次に、行政書士の仕事内容ですが、以下の3つです。

  • 官公署に提出する書類作成
  • 手続き代理
  • 相談業務

行政書士の仕事は、主に書類作成が多いのが特徴です。官公署に提出する書類や事実証明に関する書類、許認可などの審査請求など、作成できる書類は1万種類もあります。

また、手続き代理や相談業務も行います。相談業務では、手続きが複雑で、クライアントが申請できない場合、依頼主の要望を聞き代理業務をします。

手続きの相談などもあるので、行政書士にとって重要な業務といえるでしょう。このように、司法書士と行政書士の仕事には、違いがあり請け負うことができる業務の範囲が異なります。

司法書士の方が、複雑な法律に関する業務を行い、行政書士は書類作成を中心に、クライアントをサポートする業務が多いです。

司法書士と行政書士は試験の出題範囲が異なり合格率も違う

司法書士と行政書士は、試験の出題範囲や合格率も異なります。試験範囲や合格率を比較すると、以下の表の通りです。

司法書士行政書士
試験の出題範囲・民法・不動産登記法・商法・商業登記法・供託法・刑法・憲法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・司法書士法・憲法・行政法・民法・商法
合格率4%から5%10%前後
参照:司法書士を目指す人へ
令和5年度行政書士試験実施結果の概要

司法書士は試験に11科目が出題されるのに対し、行政書士は4科目から出題されます。司法書士は出題範囲が広いため、難易度も高く毎年合格率は4%から5%と低め。

一方行政書士は、出題範囲が狭いので、国家資格の中でも比較的難易度が低いです。資格を取りやすく、司法書士よりも行政書士を目指す方も少なくありません。

合格率も毎年10%なので、法律に初めて触れる方にとっても挑戦しやすい資格です。また、司法書士と行政書士では、資格を取る際の勉強時間も異なります。

司法書士は、表の通り出題範囲が広いので、資格を取るまでに必要な勉強時間が3,000時間と言われています。行政書士は、約800時間といわれていて、法律の知識がある方であれば、さらに短く500時間から600時間で資格取得を目指せます。

比較すると司法書士の方が大変そうで、資格を取るのも難しいですが、知識量やできる業務から見ると、行政書士よりもキャリアを積みやすい職業です。法律の知識が豊富なことから、就職先が多様化しており、長く仕事ができる特徴があります。

行政書士は、勉強のしやすさから法律の知識がない方でも目指しやすい資格。法律の専門家としてキャリアを積んでいくのであれば、まずは行政書士を目指し、次に司法書士を目指しても良いでしょう。

司法書士と行政書士の将来性は?AIで仕事が減るのかを解説

次に、司法書士と行政書士の将来性について解説します。現代では、AIが普及してきているので、仕事がなくなるのではと懸念している方も多いです。

しかし、司法書士も行政書士もAIにはできない仕事があります。将来仕事がなくなることが不安な方は、なぜ司法書士も行政書士も将来性があるのかを詳しく解説しますので、参考にしてみてください。

司法書士や行政書士にはAIにできない業務が多く将来性がある

司法書士や行政書士には、AIではできない業務があります。具体的には、クライアントの細やかな要望を聞きサポートをする業務です。

司法書士であれば、成年後見人や企業法務、簡易裁判所の訴訟代理が当てはまるでしょう。例えば、成年後見人の仕事は、判断能力が低くなってしまい、自分では財産を管理できない方のサポートをします。

保険料や介護施設への支払いなどを行うので、各施設やサービスで支払い方法を変えなくてはいけません。AIは、臨機応変に動くことができないので、人間がやらなければいけない業務です。

行政書士の仕事にも、相談業務があります。クライアントの悩みに沿ったアドバイスが必要になるので、AIでは難しく人間が対応しなければいけません。

書類作成はAIでもできますが、決まった形がない書類であれば、人間が対応することになるでしょう。このように、AIではできない業務がたくさんあるので、司法書士も行政書士も、仕事がなくならず長く働ける職業といえます。

司法書士と行政書士はどちらも業務の幅が広がっているので仕事がなくならない

司法書士と行政書士の仕事は、多様化してきています。司法書士の場合、メインの仕事は登記業務でした。

しかし、現在では相続から企業法務、簡易裁判所の訴訟代理まで行えるようになっています。行政書士も、作成できる書類は1万種類あるので、すぐに全ての仕事がなくなることはないです。

今後も業務内容が増える可能性があるので、将来も安心でしょう。現在でも司法書士で仕事を増やす場合は、認定司法書士になる方法があります。

認定司法書士になると、簡易裁判所で訴訟代理をすることが可能なので、報酬の額も上がり年収アップを狙えます。認定司法書士になるには、法務大臣の認定が必要なので、研修などを受けて目指してみるのもおすすめ。

行政書士であれば、作成できる書類を増やしたり、司法書士の資格をとりダブルライセンスで活躍する道もあります。さらには、法務の仕事が複雑化していることから、中小企業の経営コンサルタントとして仕事を増やすこともできます。

法律の知識を持っていると、さまざまな仕事に関われるので仕事を増やしながら、長く活躍することができます。

司法書士や行政書士の書類作成業務は減り相談業務が増える可能性がある

AIの普及で、司法書士や行政書士が行う書類作成の業務は少しずつ減少する可能性があります。そのため、今後の業務としては相談業が増えるでしょう。

相談業は、AIではできない業務になるので、簡単な書類作成はAIに任せ、司法書士や行政書士はクライアントのサポートに集中できます。複数の依頼を同時に進行することも可能なので、より多くの業務をこなせるでしょう。

司法書士も行政書士も、コンサルタントとして企業や事業主のサポートもできます。法律は複雑で、専門家でない限り理解するのが難しいため、現在はコンサルタント市場は拡大しています。

社会的な背景でも、コンサルタントの需要は増えていくので、司法書士や行政書士の業務をこなしつつ、クライアントの支援で活動の幅を広げられるでしょう。

コンサルタントの仕事は、資格が必要ないので、すぐに始められるのも魅力。勉強時間などを費やす必要がないので、始めやすいでしょう。

将来性が不安な方は、できる業務を増やしたり、法律の知識を活かせる仕事を並行して行うと将来も安心です。

司法書士と行政書士はどっちが稼げるのか年収を比較し推測

司法書士と行政書士、どちらの資格を取ろうか迷っている方にとって、年収の差は気になるポイントでしょう。実際に、厚生労働省のデータを確認すると、司法書士と行政書士では年収に差があります。

業務内容でも、もらえる報酬金額が異なるので、年収や報酬金額を比較しどちらが稼げるのかを推測します。キャリアアップや年収アップで、司法書士か行政書士の資格を取ろうか迷っている方は、参考にしてください。

司法書士の平均年収は約970万円で裁判所関連の仕事で収入が高くなる

厚生労働省のデータを見ると、司法書士の年収は約970万円で、最高年収が約1196万円です。この年収額は、他の士業の中でも高い方に位置し、司法書士は稼げることが分かります。

しかし司法書士の中には、仕事の依頼をなかなか受けられず、辞めてしまう方もいるのが現状。仕事がないと年収も下がってしまうので、仕事を途切れさせない工夫が必要です。

司法書士は、簡易裁判所の訴訟代理をすることができるので、年収をアップさせるなら認定司法書士を目指すのがおすすめ。認定司法士は、新人研修や特別研修を終え、認定考査を受ける必要があります。

認定司法書士になれる確率は、約50%〜60%と資格試験よりも合格率が高いです。しかし、資格を取得後にしっかりと対策をしなければ、落ちてしまう可能性も十分あるので、気を抜かずに研修などで知識をつけておきましょう。

認定考査に受かると、簡易裁判所の訴訟代理ができるようになるので、報酬額が一気に上がります。

裁判書類作成業務平均報酬額
通常訴訟73,479円
保全手続70,508円
債務の整理213,049円
賃料不払いによる建物明渡請求事件の申立書類の作成77,668円
参照:司法書士の報酬

裁判の書類を作成するだけでも、7万円から20万円と高い報酬額になっているので、認定司法書士を目指すことで、年収アップを狙えるでしょう。

行政書士の平均年収は約580万円で司法書士よりも低くなる

厚生労働省のデータでは、行政書士の平均年収は約580万円で、最高年収は約690万円です。司法書士よりも年収が低い結果となっています。

行政書士の仕事は、主に書類作成がメインとなるので、司法書士よりも報酬額が低い傾向。

業務内容平均報酬額
建設業許可申請知事120,458円
宅地建物取引業者免除申請112,535円
宅地建物取引士資格登録申請25,452円
自動車保管場所変更届出6,865円
参照:報酬額統計

許認可の種類にもよりますが、報酬額は10万円を超えるものから1,000円単位のものまであるので、受ける依頼によって年収も変動します。行政書士で年収アップを狙うなら、不動産関連の書類作成を多く受けると、報酬額が上がります。

中には、平均の報酬額が20万円を超えている業務もあるので、行政書士の収入相場を知り、戦略的に仕事を請け負いましょう。また、行政書士として活躍するために、他の人が依頼を受けない仕事に挑戦してみるのもおすすめ。

今後、需要が増えそうな業務として、ドローン関連の仕事があります。法改正がされ、ドローンを利用する際には制限が設けられています。

飛行をするためにも、警察へ道路使用許可を取る場合があるので、行政書士が請け負うことが可能。イベントが多い時期などでは、ドローンを使用することが多くなっているので、知識を学び仕事に活かせると報酬をあげることができます。

司法書士と行政書士の業務では報酬額がどのように変わるのかを比較

司法書士と行政書士には、報酬額の違いがあるのかも比較していきます。それぞれ、独占業務があるので報酬額がどのくらい変わるのかを理解し、キャリアプランを立てる参考にしましょう。

司法書士の独占業務である、一部登記の報酬は以下の通りです。

業務内容平均報酬額
不動産登記 所有権移転登記51,909円
不動産登記 所有権保存登記24,707円
不動産登記 抵当権設定登記39,267円
商業・法人登記 会社設立登記99,611円
商業・法人登記 新株発行52,819円
商業・法人登記 会社合併147,798円
参照:司法書士の報酬

行政書士の独占業務である、一部許認可申請の報酬は以下の通りです。

業務内容平均報酬
建設業許可申請64,841円
宅地建物取引業者免除許可申請112,535円
屋外広告業登録申請52,512円
河川関係許可申請(土地の占用の許可)372,359円
参照:報酬額統計

司法書士と行政書士の業務内容は異なるので、報酬額にも差があります。しかし、どちらも業務の規模によって報酬額は上がるので、優劣をつけるのは難しいでしょう。

報酬額の相場を知り、自分で仕事の量や規模を調節する必要があります。また、司法書士と行政書士の業務内容や報酬を把握することで、自分にはどちらの仕事が適しているか判断できます。

目指したい年収や仕事内容などを確認し、自分に適した分野の資格を取得してください。

司法書士と行政書士の資格はどちらがおすすめ?向いている人の特徴を解説

司法書士と行政書士は、仕事内容や年収が異なることを解説しましたが、どちらの資格を取得しようか悩んでいる方も多いはず。業務内容が異なるので、それぞれ向いている方の特徴も違います。

ここでは、司法書士や行政書士、2つの職種に向いている方の特徴を解説します。どの職業を選ぼうか迷っている方は、参考にしてみてください。

司法書士が向いている人は独立を目指していて正確な仕事ができる人

司法書士は、法律の専門家として相続や登記、企業法務などの仕事をします。法律は、間違うと契約の取り消しや申請が通らない場合があるので、正確さが求められる仕事。

法律の知識を深く理解する意欲があり、正確な仕事ができる人が司法書士に向いています。会社の設立や相続の手続きなど、クライアントの人生がかかった仕事になるので、慎重で細やかな配慮も必要になるでしょう。

クライアントの要望や相談は、多種多様なので、柔軟な働き方ができると司法書士で活躍できます。また、独立を目指している方にも司法書士がおすすめ。

司法書士は専門性の高さから、独立がしやすく個人事務所を構えている方も少なくありません。事務所に属せず、よりクライアントと近い距離で仕事ができるので、人のサポートができやり甲斐があります。

司法書士で独立をしている方の中には、年収1,000万円を超えている方もいます。法律関係は、仕事がなくなることがなく、仕事の規模が大きくなると収入が上がるので、年収アップを目指している方もセカンドキャリアとして、司法書士を目指しても良いでしょう。

行政書士が向いている人は書類作成をすることに負担を感じない人

行政書士の仕事は、主に書類作成です。文章を書くことが好きな方や、事務作業に負担を感じない方は、行政書士が向いています。

法律は、時代によって変わっていきます。法律の知識も必要になるので、学ぶことが好きな方も向いているでしょう。

行政書士の仕事内容も変わる可能性があるので、柔軟に対応でき楽しめると仕事も長く続けられます。行政書士が作成できる書類は、1万通りあるといわれています。

全てを把握するのは難しいですが、クライアントの要望に沿って作成するので、コミュニケーション能力も必要でしょう。依頼主と円滑にコミュニケーションが取れれば、リピーターが増え仕事も途切れず収入が安定します。

人と話すことやサポートが好きな方は、行政書士を目指すのがおすすめです。

また、行政書士は書類作成だけでなく、弁護士のサポートをするパラリーガルという働き方もできます。

弁護士の指示で、法令や裁判のリサーチ、法律文章の作成、スケジュール管理など、サポートをするのがパラリーガルの仕事。法律の知識があれば、より深く弁護士の案件に携わることができ、法律の専門家として働くことができます。

働き方はひとつではないので、好奇心旺盛で新しいことに挑戦できる方は、行政書士としても長く活躍できます。

法律の専門家を目指すなら司法書士と行政書士のダブルライセンスがおすすめ

司法書士と行政書士は、相性のいい資格といわれているので、ダブルライセンスもおすすめです。どちらの資格も持っていることで、仕事の幅が広がり将来も長く仕事をすることができます。

また、司法書士や行政書士は、それぞれ相続や不動産関係の仕事があります。ダブルライセンスを持っていれば、相続や不動産、会社設立のための手続きを一括して仕事を受けることができ、収入アップを狙えるでしょう。

具体的には、行政書士は相続の手続きでは、遺産分割協議書や遺言書の作成、相続人の調査などができます。一方司法書士は、相続登記の申請や遺産分割に関する交渉などを行います。

行政書士だけでは、携われない業務も含まれるので、司法書士の資格を持っておくことで一通りの業務をこなせます。依頼主も司法書士と行政書士、両方に依頼するのは大変なことなので、ダブルライセンスを持っている方は重宝される可能性が高いです。

司法書士と行政書士の資格をどちらも持っていれば、法律の専門家として独立も可能です。依頼をする方にとって、法律の知識が豊富にある方が信頼できます。

資格は、自分の実力を示す指標にもなるので、今後法律関係の仕事で長く依頼を受けていくのであれば、ダブルライセンスも視野に入れておきましょう。

司法書士と行政書士でダブルライセンスにするメリット

次に、司法書士と行政書士2つの資格を持つ、ダブルライセンスのメリットを紹介します。資格を複数持つことで、業務の幅が広がったり収入アップを狙えたりと、メリットが大きいのがダブルライセンスの特徴。

労働人口も減少しているいま、幅広い業務をこなせることによって、仕事の依頼が絶えず長く活躍できるでしょう。ダブルライセンスを取ろうか迷っている方は、以下を参考に検討してみてください。

司法書士と行政書士の試験内容は重なっている部分があり資格を取りやすい

司法書士と行政書士は、試験の出題範囲が被っているので、試験勉強がしやすいです。司法書士の試験範囲は11科目ありますが、行政書士は司法書士に含まれる科目も含め4科目が試験範囲です。

司法書士行政書士
試験の出題範囲・民法・不動産登記法・商法・商業登記法・供託法・刑法・憲法・民事訴訟法・民事執行法・民事保全法・司法書士法・憲法・行政法・民法・商法
参照:司法書士を目指す人へ
試験概要 | 行政書士試験研究センター

被っている科目が多いうえ同じ法律の問題なので、試験勉強も短縮でき、ダブルライセンスが取りやすいです。司法書士の方が合格率は低いですが、どちらも国家資格なので、信頼性も高く今後の仕事に活かせるでしょう。

試験科目が被っていると、本試験の対策を立てやすいのも魅力。司法書士で勉強したことが、行政書士でも活かせるので、合格率に関係なく資格取得を目指せます。

また、司法書士も行政書士も法律の知識がなくても、目指せる資格です。法律関係の大学を

卒業していなくても、資格勉強さえしっかりできれば、資格を取得するのも難しくありません。

他の業界で働いていて、キャリアチェンジをしたいと考えている方は、司法書士や行政書士の資格を取ることを検討してみてください。

司法書士と行政書士の仕事を両方できるようになり依頼が増える

司法書士と行政書士の資格があると、仕事の幅を広げることが可能です。司法書士の独占業務である登記手続きや、行政書士の独占業務である許認可申請など、できる仕事が増えるので、依頼もその分多くなるでしょう。

依頼が多くなると、収入も増えることになるので、年収アップにつながります。司法書士と行政書士は、相続や会社設立の手続きなど被っている仕事もありますが、請け負うことができる業務の範囲が異なります。

相続であれば、手続きに必要な書類作成は行政書士が担当。相続の際に不動産の登記などがある場合は、司法書士が手続きをしなければいけません。

司法書士と行政書士で、連携して仕事をする場合もありますが、何度も連絡を取り合わなければいけないので、その分手間も増えてしまいます。業務をスムーズに進めるためにも、ダブルライセンスを持っておけば、一括して依頼を受けることができ、依頼主からの信頼も得やすくなるでしょう。

他の士業が運営する事務所に在籍していれば、司法書士の仕事も行政書士の仕事も請け負うことが可能です。新たに人材を雇う必要がないので、事務所からも重宝されキャリアアップを目指せます。

ダブルライセンスは報酬額を上げやすいので年収が上がる可能性がある

ダブルライセンスにすると、司法書士と行政書士の仕事を、一気に請け負うことが可能なので、その分報酬額をあげることができ、年収アップにつながります。司法書士と行政書士の独占業務をどちらも仕事にできるので、規模が大きい業務にも携われるでしょう。

事務所や企業に就職した際も、自分の能力を証明できれば昇給する可能性もあります。キャリアップの道が一気に開けるので、ダブルライセンスはとてもおすすめ。

また、独立する際にもダブルライセンスは役立ちます。依頼主は相続や登記など、法律を理解していない可能性が高いです。依頼をしようと問い合わせても、司法書士か行政書士、どちらからの仕事しかできない場合は、断らざるを得ない場合もあるでしょう。

しかしダブルライセンスでは、クライアントの依頼に答えられる可能性が高くなります。依頼を断る回数が減れば、その分仕事が増え評価も上がっていくでしょう。

年収アップやキャリアアップを目指している方は、司法書士と行政書士の資格をどちらも取得し、仕事に活かしてください。

司法書士と行政書士の就職先には違いがある?就職できる場所を紹介

司法書士と行政書士は、仕事内容が異なるので、就職先にも違いがあります。自分のキャリアを形成するためにも、就職先の違いやどこに転職可能かも把握しておくと、就職先を探しやすくなります。

就職先ごとに、どのような業務に携われるのかも詳しく解説。就職先に悩んでいる方は、キャリアプランを立てる参考にしてみてください。

司法書士の就職先は多様化しており事務所や企業などを選ぶことができる

司法書士の仕事は、以前まで登記がメインの仕事でしたが、現在では相続や企業法務、簡易裁判の訴訟代理と、仕事の幅が広がっています。業務の内容が多様化しているので、就職先も増えていて、自分がどのようにキャリアを積みたいかによって選ぶことができます。

例えば、将来独立し自分の事務所を作りたいのであれば、司法書士の実務経験が多く積める士業の事務所がおすすめ。事務所であれば、他の司法書士が在籍している可能性があり、直接教わりながら仕事を学ぶことができます。

法律事務所など、他の士業が運営する事務所であれば、他の士業の方と連携して仕事を進められます。独立する際には、実務経験と人脈が役立ちます。

独立後も、司法書士として活躍するスキルが身につくので、就職先として事務所は最適でしょう。また、企業法務に就職すると、コンサルタントとして活躍できる可能性があります。

経営者や事業者の相談を受け、法律面からサポートをするので、やり甲斐のある仕事。経営方法にも詳しくなるので、経営コンサルタントとしてキャリアチェンジできます。

このように、司法書士の就職先で、将来の働き方も多様化していきます。以下では、就職先別の仕事内容などを解説するので、参考にしてみてください。

法律関係の業務実績を積める司法書士事務所や司法書士法人

司法書士の就職先として多いのは、司法書士事務所や司法書士法人です。事務所では、依頼を受ける業務が異なり、登記をメインにしている事務所や相続をメインにしている事務所もあります。

事務所によって、受ける仕事内容が異なるので、就職する前にどのような業務が多いのか確認しておきましょう。司法書士として実務経験を積むなら、1つの業務だけでなく満遍なく依頼を受ける事務所を選ぶのがおすすめ。

地域によっては、仕事内容が偏る可能性もありますが、なるべく全ての業務を経験できるようにしておくと、将来独立や年収アップを狙えます。

企業内のルール決めや取引の書類作成などを受け持つ企業法務

司法書士は、企業の規律や取引の書類作成など、法律の知識を活かして企業法務として就職も可能です。企業法務では、経営者や事業者の悩みを聞く、相談業務もあります。

法律面から、どのような経営方針を立てたらいいのか、取引の内容は正当かをアドバイス。経営に関わる大事な業務なので、法律だけではなく経営の知識も必要になります。

企業法務として経験を積めると、経営コンサルタントとしても活躍できるようになります。コンサルタント市場は、現在拡大しているので、将来性もある仕事として注目されています。

司法書士とコンサルタントの仕事を並行してできると、年収アップも狙え独立も夢じゃありません。多様な働き方が可能になるので、仕事がなくなる事はなく長く活躍することができるでしょう。

司法書士は法律の知識や実務経験を活かして独立企業も可能

司法書士は、他の士業に比べて独立がしやすい職業だと言われています。資格保有者が少なく、法律の専門家として活躍できるので、独立しても仕事がなくなりにくいです。

また、独立後は年収をアップさせやすいのも、独立を考えている方が多い理由のひとつ。自分で報酬額を決められ、会社を通さず直接収入として入ってくるので、事務所などの属していた時よりも年収がアップしやすいです。

事務所での平均年収は、約680万円といわれています。独立した司法書士の平均年収は、200万円から500万円となっていて、平均では低い数値ですが実際には年収1,000万円を超えている方もいます。

報酬の高い業務を中心に依頼を受けると、企業や事務所よりも年収をアップできるでしょう。独立を考えている方は、業務報酬の相場をしっかり理解し、規模が大きい依頼でも受けられるように準備しておくと安心です。

行政書士の就職先は主に3つ!自分にあった雇用形態の職場を選べる

行政書士は、主に法律事務所や弁護士事務所、一般企業に就職する方が多いです。司法書士と違うところは、自分のライフスタイルに合わせて雇用形態を選べるところ。

法律事務所などで雇用され働く場合は、使用人行政書士と呼ばれ、他の士業の方と連携をしながら仕事を進めていきます。使用人行政書士として働く場合は、日本行政書士連合会に登録する必要があります。

また、補助者として事務所に就職することも可能。補助者は、日本行政書士連合会に登録せず、事務所に就職すると与えられる役職です。

補助者は、パートやアルバイトよりも、行政書士として近い現場で働くことができます。実務経験を積むことができますが、事務所によっては書類作成のみを任される場合もあるので、注意が必要。

将来、独立を考えているのなら、日本行政書士連合会に登録し、実務経験を積んだほうが良いでしょう。行政書士は、事務所にパートやアルバイトとしても就職ができます。

パートやアルバイトは、使用人行政書士や補助者とは違い、事務作業や他の行政書士のサポートをする仕事が多いです。行政書士として、直接依頼に携わることはできませんが、ライフステージの変化に合わせて働けるでしょう。

このように、行政書士は雇用形態が異なると立場が変わり、携われる業務が異なります。自分のキャリアプランに合った就職先を見つけられるように、覚えておきましょう。

以下では、就職先別にさらに詳しく仕事内容などを解説します。

行政書士の求人で多く実務経験を積むことができる法務事務所

行政書士の就職先として多いのは、法律事務所です。弁護士が在籍しているので、法律に関する書類作成や行政書士にしかできない、許認可申請を中心に仕事をします。

法律事務所では、さまざまな依頼を受けることになるので、行政書士として幅広い知識を得られ、実務経験を積むことが可能です。将来独立を目指している方や、他の士業の資格取得を考えている方におすすめの職場。

人脈を広げることも可能なので、独立後も弁護士などと連携を取りながら仕事をすることができます。また、法律は増えたり改正されたりするので、最新の情報を常に持っておくことが重要です。

法律事務所では、法律に関してのスペシャリストがいるので、法律が変わった際の対応方法なども学べて、今後のキャリアに活かせます。

法律の知識を活かし弁護士のサポートをする弁護士事務所

弁護士事務所も、行政書士の就職先としておすすめですが、行政書士の仕事よりも弁護士の補佐をするパラリーガルとして働く方が多い職場です。パラリーガルとは、弁護士の指示に従い法的な専門性の高い業務をします。

行政書士の資格がなくてもできる仕事ですが、より法律に詳しくなるうえ、弁護士の仕事を間近で見ることができるのも魅力。パラリーガルになると、法令や裁判例のリサーチ、法律文章の作成などを行います。

弁護士事務所は、将来性があり急に仕事がなくなることがないので、長く勤めることができます。人をサポートするのが好きな方や、法律の知識をさらに深めたい方に、おすすめの就職先といえるでしょう。

行政書士の書類作成能力を活かして仕事をする一般企業

行政書士の資格を活かして、一般企業に就職するのもおすすめ。行政書士や、建設や不動産など、法律の知識を豊富に持っているので、企業で書類作成を中心に活躍できる可能性があります。

建設会社や不動産会社で、行政書士のような法律に詳しい人材を求めている場合もあるので、資格を活かして転職も可能。さらに、司法書士のように企業法務としても就職できます。

法務部では、法律相談や契約書の作成などを行うので、行政書士も十分活躍できるでしょう。現在は、企業法務を募集している会社が増えているので、事務所にこだわらずに就職先を探せます。

企業であれば、安定的な収入も手に入るので、将来も安心でしょう。

【FAQ】司法書士と行政書士の違いについてのよくある質問

最後に、司法書士と行政書士の違いについて、よく寄せられる質問に答えていきます。同じ国家資格で、仕事内容も似ていることから、混同してしまう方も多い2つの職業ですが、明確な違いがあるので、ここで理解しておきましょう。

司法書士と行政書士の仕事内容から、年収、キャリア形成など、さまざまな視点から違いを解説します。どちらの資格を取ろうか迷っている方は、参考にしてください。

司法書士にできて行政書士にできない業務はどんなものがある?

司法書士にしかできない独占業務は、登記申請です。登記は行政書士にはできない業務なので、依頼を相談された場合は、司法書士に頼むしかありません。

逆に、行政書士にしかできない独占業務は、許認可申請です。こちらも、司法書士にはできない業務なので、行政書士に依頼が回ります。

このように、司法書士と行政書士には、独占業務がそれぞれあるので、できる仕事が異なります。仕事を受ける際には、混同しないように注意しましょう。

また、独占業務に関係なく仕事の幅を広げたいと考えている場合は、司法書士と行政書士のダブルライセンスがおすすめ。2つの資格を持っていれば、できない業務だからと依頼を断ることがなく、仕事を増やせ年収をアップさせることができます。

年収をアップさせる具体例としては、会社の設立に関して、行政書士が定款の書類を作成し、司法書士が登記の申請をします。ダブルライセンスであれば、会社の設立に関する依頼を一括して受けることができます。

一括して仕事を受けられるので、報酬もその分上がり、結果的に年収アップにつながります。司法書士と行政書士は、相性のいい資格なので、キャリアアップをしたいと考えている方は、ダブルライセンスを検討してみましょう。

司法書士と行政書士はどちらが多く稼げるのか知りたい

司法書士の年収は、厚生労働省のデータを元にすると、約970万円が平均です。一方、行政書士の平均年収は約580万円です。

データを比較すると、司法書士の方が多く稼げることが分かります。主な理由としては、簡易裁判所の訴訟代理をすることができるので、報酬が高くなっているから。

行政書士には、裁判所などに関する書類作成ができないので、その分司法書士の年収が高いです。年収アップを狙っているなら、司法書士の資格をとっておくと良いでしょう。

司法書士の資格は、国家資格の中でも難易度が高いほうですが、行政書士と出題範囲が被っているので、勉強がしやすいのが魅力。行政書士で培った知識を活かせるので、司法書士の資格を取る方も多いです。

また、司法書士の資格を取らないのであれば、中小企業診断士や宅建士を目指すのもおすすめ。中小企業診断士は、経営のコンサルタントのような仕事をするので、行政書士と相性のいい資格です。

宅建士も、行政書士の仕事にある相続の種類を作成する際に役立つ資格です。相続には、不動産の相続や売却をする可能性が高いので、宅建士の知識が仕事に役立つでしょう。

資格を組み合わせることで、年収アップを狙え、行政書士の平均年収を上げることが可能です。

司法書士から行政書士になることはできる?難易度を知りたい

司法書士から、行政書士になることは可能です。上記でも触れましたが、試験の出題範囲で被っている科目が多く、司法書士の知識があるのなら行政書士の資格も受けることが可能。

司法書士の試験の方が出題範囲が広いので、行政書士を目指す場合は、復習をする形となり勉強時間も短縮できます。行政書士の資格取得に必要な時間は、法律の知識を持っている方で約500時間から600時間といわれています。

1日3時間勉強したとしても、半年から7ヶ月ほどで試験を受けられる計算です。司法書士の知識があるので、資格勉強もそれほど難しくありません。

法律の勉強が初めての方よりも、難易度が下がるので資格が取りやすいでしょう。しかし、行政書士から司法書士を目指す場合は、出題範囲が広くなるので試験勉強に時間がかかります。

行政書士は4科目に対し、司法書士は11科目なので、7科目分の勉強が追加されることになります。司法書士を目指す場合は、十分な勉強時間を確保し資格試験に臨みましょう。

司法書士と行政書士の就職先にも違いがある?働ける場所を把握したい

司法書士と行政書士の就職先にも、違いがあります。司法書士は、士業事務所や企業、独立など選択肢が多いです。

一方行政書士は、士業事務所や企業が就職先として多い傾向です。司法書士は、書類作成だけでなく、登記申請や相続、成年後見人、簡易裁判所の訴訟代理など、できる業務が多いので就職先も多様化しています。さらには、独立しやすい職種ともいわれていて、ある程度実務経験を積積むと、自分の事務所を作り起業する方もいます。

行政書士は、主に書類作成が中心の仕事なので、他の士業の方が経営する事務所や一般企業で働くことが多いです。その中でも弁護士事務所では、弁護士のサポート役として業務をこなすことが多く、他の士業の働き方を見ながら実務経験を積めます。

法律の知識もつくので、おすすめの就職先でしょう。就職先を決める際には、自分のキャリアプランを明確にし、どのように実務経験を積んでいくのか考えてから決めると、失敗もなく安心です。

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