時効 / 民法基礎知識 / 裁判事務

民法にも時効はある!時効で押さえておきたい2つの種類【取得時効や消滅時効】法務担当者向け基礎知識

 

公訴時効とは別

刑事が主人公のテレビドラマなどで、「時効」という言葉を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか
その中で、刑事が「もうすぐ時効が完成してしまう」とか、犯人が「もうすぐ時効だ、それまで逃げ切るぞ」などと言っているのを聞いたことがありませんか。
ここでいう時効とは、犯人が犯罪を犯してから、検察官が公訴の提起(いわゆる起訴)をすることができる権利が失われるまでの期間(公訴時効といいます。)をいい、その期間を過ぎてしまうことを「公訴時効が完成する」といいます。公訴時効が完成すると、そのあとに犯人が犯罪を自白しても検察官が起訴することができなくなります。
上記の例は刑事事件のお話ですので今回の本題とは少し離れます。

民法の時効は2種類存在する

ここからは民法の時効について説明致します。
時効には、「消滅時効」と「取得時効」の2種類が存在します。

消滅時効

消滅時効とは、権利の行使をしないまま一定の期間が経過することによって、その権利が消滅してしまうことをいいます。法律で定められた一定の期間が経過し、当事者等が、消滅時効を援用(権利を有している人に対して、消滅時効制度を使うことを伝えること)することによって確定的に権利が消滅します。

消滅時効の期間については、民法166条に規定があり、「債権は、債権者が権利を行使することができることを知った時から5年間行使しないとき(民法166条1項1号)、または、権利を行使することができる時から10年間行使しないとき(民法166条1項2号)に時効によって消滅する」とされています。

債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から20年間行使しないときは、時効によって消滅する(民法166条2項)とされています。
では、上記の期間が経過すれば、それだけで消滅時効の効果が発生し、債権が消滅するかというと、そうではなく、最高裁判所の判例では、「時効による債権消滅の効果は、時効期間の経過とともに確定的に生ずるものではなく、時効が援用されたときに初めて確定的に生ずる。」としています。ここでいう、時効の援用とは、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人その他権利の消滅について正当な利益を有する者を含む)が、時効の制度を利用する旨の意思表示を債権者にすることです。この援用をすることによって、確定的に債権が消滅することになります。
この民法の制度を消滅時効と言います。

取得時効

一方、取得時効とは、法律で定められて一定の期間、所有の意思をもって占有あるいは、自己のためにする意思をもって権利を行使した時にその権利を取得するわけですから、時効期間が経過し、取得時効を援用することによって、権利を取得することになります。
すなわち、消滅時効の反対だとイメージして頂ければと思います。現実的には想像しにくいかもしれませんが、ある人が他人の建物に住んでいたとします。
この場合、平穏かつ公然にその建物を所有する意思をもって占有(平たくいうと、住むことです)すると、この占有を開始した時に自分の所有物だと過失なく信じていた場合、占有開始から10年で時効が完成することとなり、その占有者が取得時効を援用することによりその建物を取得することになります。

また、占有を開始した時に、その物が他人の物であること知っていたり、知らないことに過失があったとしても、20年の期間が経過すると取得時効を援用することができるようになります。

さいごに

いかがでしたでしょうか。本日は民法上の2つの時効についてご紹介させていただきました。
時効取得に関する相談や、登記手続きのご相談は、永田町司法書士事務所までお寄せくださいませ。

会社法人登記(商業登記)の

ご相談・ご依頼はこちら
お問い合わせ LINE

ご相談・お問い合わせはこちらから