支店設置

支店設置登記の必要書類・決議機関・登録免許税の総まとめ【株式会社編】

支店設置登記の制度概要と改正の背景

従来、株式会社が新たに支店を設置した場合、その支店の所在地を管轄する法務局でも登記を行う必要がありました。
しかし、2022年9月1日の商業登記規則等の改正により、支店所在地における登記義務は廃止されました。
これは、企業の事務負担を軽減し、登記制度の簡素化を図るための措置です。

一方で、本店所在地における支店設置登記については、引き続き義務が存続しており、登記懈怠による過料のリスクも残るため、注意が必要です。

支店設置時に必要な登記とは?

株式会社が支店を設置した場合、その設置日から2週間以内に、本店所在地の管轄法務局に対し、支店を設置した旨の登記を申請する必要があります。
この登記は、あくまで本店の登記事項としての申請であり、支店所在地に法務局が存在していても、そこへの申請は不要です。

登記手続における意思決定機関とその決議事項

支店設置は会社の経営方針に関わる重要な事項であるため、会社法上、一定の決議機関による決定が必要とされます。

会社の機関構成 決議機関
取締役会設置会社 取締役会の決議
取締役会非設置会社 取締役の過半数の一致による決定

※支店設置の決定は、代表取締役や個々の取締役への委任は不可とされています(会社法第348条第3項、362条第4項)。

決議内容としては、最低限以下の項目を明確にしておくことが望まれます。

・支店の所在地
・支店の設置日
・設置理由(必要に応じて)


支店設置登記の登録免許税

支店設置登記を行う場合、支店1か所あたり6万円の登録免許税が課されます(登録免許税法「別表第一」の24(一))。
これは「申請1件ごと」ではなく、「支店1箇所ごと」に課税される点に注意が必要です。

支店設置登記に必要な書類

支店の登記申請には、以下の書類を準備するのが一般的です。

書類名 内容および留意点
取締役会議事録または取締役決定書 支店設置に関する決議内容を記載した文書。機関構成に応じた形式が必要。
登記委任状 代理人を立てて登記を行う場合に必要。原則として代表者の実印押印が求められます。
登記申請書 法務省所定の様式に従い作成。支店所在地・設置日などの情報を正確に記載します。


実務上の留意点と登記懈怠リスク

支店設置登記の遅延は、登記懈怠による過料の対象となり得るため、支店開設日からのタイムライン管理が重要です。特に以下のようなケースでは要注意です。

・実態として営業を開始しているにも関わらず、登記が未了
・支店の設置が事後的に判明したが、当時の決議記録が不十分

忘れずに登記対応をしましょう。

手続きのご依頼・ご相談

支店設置登記は「本店所在地での申請」が原則となりました。
2022年の制度改正により、支店所在地での登記義務が廃止されたことで、手続きが大幅に簡素化されました。しかし、本店所在地における支店設置登記は依然として義務である点に注意が必要です。

会社法人登記(商業登記)に関するご依頼・ご相談は、司法書士法人永田町事務所までお問い合わせください。



本記事の著者・編集者

司法書士法人永田町事務所

商業登記全般・組織再編・ファンド組成・債務整理などの業務を幅広く取り扱う、加陽 麻里布(かよう・まりの)が代表の司法書士事務所。
【保有資格】
司法書士登録証

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